油圧ディスクロードの輪行時に欠かせない(?)ブレーキパッドのスペーサーについて、オーストリッチのダミーローターはSHIMANOと比較します!また、油圧の自動調整機能の仕組みについても簡単に解説しています。
- はじめに
- 油圧ディスクで輪行は大変なのか?
- あると嬉しい輪行アイテム
- CANYONで油圧ディスクを購入する際は注意
- パッドスペーサーは厚紙で代用できる
- OSTRICH ダミーローターがおもしろそう!
- おわりに
はじめに
皆さまおはようございます。
今回は、ディスクロードを輪行するときにあると便利なパッドスペーサーのお話です。
油圧ディスクブレーキのロードバイクをすでにお持ちのかた、これから購入を検討しているかたはぜひご覧ください。
(この商品のレビューはこの記事の後半に!)
油圧ディスクで輪行は大変なのか?
・ディスクブレーキ
・輪行
というワードを聞くと、
・「エア噛みするので自転車を逆さまにしてはいけない?」
・「パッドの位置が戻らなくなる?」
・「ホイールの着脱が大変?」
・「ローターが曲がる / 擦るようになってしまう?」
というネガティブなイメージを持たれるかたもいらっしゃるかもしれませんが、実際にはこのような心配はほぼ不要です。
例えば、オイルラインの独立化によって倒立させてもエア噛みが起こらなくなりましたし、ホイールを外した後にブレーキレバーを握ってパッドがくっついてしまったとしても、薄いマイナスドライバーのようなものでこじ開ければ元に戻るようになっています。
ローターが曲がってしまうほど雑に収納さえしなければ、リムブレーキ同様の手順で輪行が可能です。
あると嬉しい輪行アイテム
前述のように、油圧ディスクでも輪行袋1つで問題なく輪行することが可能ですが、
・ローターカバー
・パッドスペーサー
という便利なアイテムについても触れておきます。
ローターカバーはどんな状況で必要?
ローターカバーとは、名前の通りにローターに被せる布製のカバーです。
根本的にはスプロケットカバーと同じもので、ローターが入るように直径を大きくしただけです。
カバーの内側には柔らかいクッション素材が入っています。
このローターカバーは、「ローターが曲がらないようにする」ためのものではなく「ローターが接触してフレームが傷つくことを防ぐ」レベルのものだと思ってもらって結構です。
私もオーストリッチのものを持ってはいるのですが、ほとんど使っていません。
ローターが触れないようにうまく輪行袋に収納できる人であれば、わざわざカバーをつけるまでもないかな、というように思います。
ですが、サイズギリギリの輪行袋を使っていてローターとフレームがどうしても干渉してしまう!という人ならマストアイテムになり得ると思います。
油圧なら持っておきたいパッドスペーサー
次にパッドスペーサーです。これはブレーキキャリパーに挟むことで、左右のパッド同士がくっついてしまうことを防ぐアイテムです。
油圧ディスクの完成車を自転車屋さんで購入した場合、大抵はこのSHIMANO製のパッドスペーサー(オレンジ)が2つ付属するはずなので、基本的には追加で購入する必要はありません。
しかし、 CANYONなど海外通販で購入した自転車の場合は要注意!
・・・というお話の前に、まずはなぜこのスペーサーが必要になるのかについて、油圧ディスクの仕組みから解説します!
(余談)油圧ディスクがパッドクリアランスを自動調整してくれる仕組み
なぜ油圧ブレーキだと「ホイールを外した状態でブレーキレバーを握るとパッドがくっついたままになってしまう」のかについて疑問に思っているかたもいらっしゃるのではないでしょうか?
それは、「機械式ディスクだとバッドのクリアランスは消耗と共に人力でネジを回して時々調節しなくてはいけないのに、油圧ディスクだと自動で調節してくれるのはなぜか?」という事柄に深く結びついています。
それでは、油圧ディスクの自動クリアランス調節の仕組みについて簡単にみていきましょう。
① 通常時: ブレーキパッドは元の位置に戻る
まずは、油圧ディスクがどのようにしてブレーキパッドを動かしているのかを確認します。
これがディスクブレーキを横から描いた概略図です。
このピストンシールというゴムのようなパーツが自動調節機能のミソとなっています。
通常時は、このピストンシールの歪みが許容範囲内なので、ピストンは元の位置に戻ります。
まとめるとこのようになります。(小さくてすみません)
②パッドがすり減ってきたら:シールが限界を超えて自動調節機能がはたらく
ところが、パッドがすり減ってきてローターとパッドの間のクリアランスが大きくなってくると、
ピストンシールの歪みが限界になり、あるところを境にピストンシールがピストンの上を滑って元々の位置よりも手前側に移動します。
地震のメカニズムに似ていますね。
まとめて見るとこのようになります。
これにより、パッドがすり減っても常にローターとのクリアランスが一定に保たれるというわけです。
これと同じことが「ホイールを外した後にブレーキをかけるとパッドがくっついて離れなくなる」現象で起こっていると考えれば、簡単に理解できると思います。
(余談ここまで)
CANYONで油圧ディスクを購入する際は注意
さて、CANYONで油圧ディスクロードを購入した場合には少し注意すべき点があります。
CANYONで購入した自転車はこのようなバイクガードと呼ばれるダンボールで郵送されてきます。
このとき、フロントホイールは外されて収納されているのでフロントのブレーキキャリパーにはパッドスペーサーが挟まった状態で届きます。
しかし、リアホイールは車体に取り付けられた状態で収納されているため、パッドスペーサーを挟む必要がありません。
つまり、CANYONの油圧ディスクロードには前輪の1つぶんしかパッドスペーサーが付属してこないのです。
ですので、輪行時にパッドスペーサーを使いければ、自分で新たに購入しなくてはいけません。
パッドスペーサーは厚紙で代用できる
パッドスペーサーは、とにかくパッドの隙間を埋めることができるのなら素材が何でも構いません。ですので、厚紙で代用することもできます。
GRAILにスペーサーが1枚しかついてこなかったので、私は毎回このように厚紙を挟んで対応してきました。
厚紙を蛇腹のように折りたたむことで簡単に外れないようにしました。実際に何度も使いましたが、一度も外れずに問題なく使えています。
ツールケースに入れてもかさばらないので、むしろ本物のスペーサーよりも便利かもしれません。
OSTRICH ダミーローターがおもしろそう!
というわけで、現在私は厚紙をスペーサーがわりにして特に不自由なく輪行ができております。
ですので正式なパッドスペーサーを買うつもりはあまりありませんでした。
しかし、先日Amazonで面白いパッドスペーサーを発見して、とても気になったので試しに購入してみることにいたしました。本当にただの気まぐれです。
オーストリッチのダミーローターという名前の商品です。購入時の値段は1000円しないくらいでした。
早速届いた製品を開封してレビューを書いていきます。
ビニール袋&説明書と、いかにもオーストリッチらしい梱包です。
中身です。今回私が気になったのはこのゴム紐がついているという点です。
このゴム紐をキャリパーに引っ掛けることで、輪行時にパッドが落ちてしまうハプニングを防止できる!ということなのでしょう。
ダミーローター本体にはSHIMANO製のものと同様に脱落防止の切れ込みが入っています。
正直この切れ込みの効果で、すでに脱落することなんてほぼありえないので、ゴム紐は不要なのでは?なんて思いますが、そこは視覚的な安心感を買うことができる・・・ということで納得することにいたします。
シマノのスペーサーと厚みを比較してみます。
オーストリッチの方が若干薄いようです。シマノはパッドの前後で薄→厚と変化していますが、オーストリッチは全面が同じ薄さです。
とりあえず差し込んでみました。強く揺すった程度ではスペーサーが落ちてくることはなさそうです。
ただ、スペーサーが輪行袋の中でどこかにぶつかってしまった場合は、もしかすると外れてしまうことも考えられます。
この製品の醍醐味であるゴム紐を引っ掛けてみます。
確かにこれならもう外れることはなさそうです。
正面から見るとこのようにスッキリと固定できています。
安心感はかなり高いです。これなら多少雑に扱ってもパッドトラブルは回避できそうです。
おわりに
今回は油圧ディスクロードの輪行事情、特にブレーキパッドのスペーサーについての記事でした。
購入したオーストリッチのダミーローターを使うのか、それとも今まで通り厚紙を使うのかという問題が残りますが、これはまだ私の中で結論が出ていません。
しばらくのところは、「最初から輪行すると決めている日」はダミーローターを持っていき、「輪行する予定はない(緊急時のため)」の場合は厚紙だけ持って行こうと考えております。
油圧ディスクブレーキをお使いの皆さまは、パッドスペーサーをどのようにお使いでしょうか?ぜひコメント欄などでお声をお聞かせください。
以上、WithGrailでした。記事をここまで読んでくださった全ての皆さんに、
良い一日を。またお会いしましょう!