Aliexpressで購入した60mmの中華カーボンホイールのレビュー、チューブレス化、ローター交換やスプロケット移植などを行いました。中華カーボンが気になっている方、グラベルロードの新しいホイールをお探しの方は是非ご覧ください。
- はじめに
- Aliexpressの発送から8日で到着
- オーダー通りにホイールが組まれているか確認する!
- 中華カーボンホイールをチューブレス化するには!?
- ディスクローターの取り外しと移植
- スプロケットの交換
- グラベルロードにディープリムはアリ?ナシ?
- 中華カーボン ディープリムホイールのインプレッション
- おわりに
はじめに
みなさまおはようございます。
今回は以前の記事で購入した中華カーボンホイールの取り付け・チューブレス化・試し乗りしたインプレに関しての記事となります。
海外通販で買った怪しげなホイールは果たして実用に耐えうるものだったのでしょうか?
それでは詳しく見ていきましょう!
Aliexpressの発送から8日で到着
発送が7/16、到着が7/24の夕方ですので、わずか8日で中国から税関を通って日本までやってきたことになります。かなりスムーズに発送されたようなので、想定より1週間近く早かったです。
ダンボールに凹みや傷は見当たりません。それでは早速開封していきましょう。
上蓋を開けると、まずはスルーアクスルとご対面です。
予備のスポークも2本入っていました。これは良心的ですね!
なお、付属のスルーアクスルはネジピッチも長さもGRAILに適合しなかったので、フレーム付属の純正品を今後も流用していきます。
スルーアクスルの規格はようやく長さだけは統一されましたが、ネジピッチの規格はまだまだフレームメーカー各社が独自規格を乱立している状況が続いているので、そろそろ統一して欲しいところです。
(今回はその長さすら微妙に10mmほど長かったので、ファクトリーに要望を出しておきました。今後は改善されたものが届くといいですね。)
さて、そろそろお待ちかねの本体を取り出していきます。
これがELITE社製 60mmカーボンリム+ Pillar社製エアロスポーク+ DT SWISS製ハブで組んだ中華カーボンホイールです!
傷なく、万全の状態で届きました!素晴らしい!
ホイールはこのように薄いポリプロピレン製の袋に梱包されていました。
ダンボールの中をのぞいてみると、ホイールを差し込む穴があったり、輸送中に暴れて傷がつかないよう工夫されていました。
ハブの左右にはプラスチックの緩衝材がはめ込まれていたので、雑にダンボールを投げられていたとしても問題ないほどに固定されていたようです。
オーダー通りにホイールが組まれているか確認する!
さて、それでは細部を見ていきましょう。
まずはホイールの要、ハブです。しっかりDT SWISSの350S(ストレートプル)で組まれていますね。
スポークに目を移すと、「Pillar」のシールが貼られていました。
きしめん状のエアロスポーク、Pillar1423です。安っぽいスポークかと思いきや、思ったよりもしっかりエアロエアロしています。
リム形状を確認しようとしたところ、リムテープによって隠されていました。
これはチューブレス用高圧テープではなく、普通のチューブド(クリンチャー)用のリムテープ ですね。
さて、チューブレス化の前に、到着時から何もいじらない状態で重量測定をしてみましょう。
それぞれリムテープありの状態で、フロントホイール:831g、リアホイール:950gでした。
お次にリムテープを外して、ホイール本体の重量を確認します。
力を入れて引っ張るとテープは外れます。わざわざ切断する必要はないので、いつでも再利用できます。
リムテープは1本 16gでした。その他、注意書きのシールなどを剥がして -2gになりました。
すなわち、今回の中華カーボンは 前: 814 g 後: 933 g =合計 1747g となりました!
カーボンホイールとしては重量級ですが、60mmのディープリムハイト、ディスクブレーキ対応 (基本的にリムブレーキモデルから50~100g増量) ということを考慮すれば、なかなか健闘した値ではないでしょうか?(しかも5万円代)
(参考)
(MAVIC COMET PRO DISC 1755 g (64mm) 32万円)
(フルクラム WIND 55 DISC 1680 g (55mm) 17万円)
(ZIPP 404 DISC 1600 g (58mm) 41万円 (!) )
ちなみに、同条件でGRAIL CF 7.0完成車付属のDT SWISS C1850の重量測定をしたところ、前: 851 g 後: 974 g =合計 1825g となりました。
C1850の重量はどのサイトにもカタログにも乗っていないのですが、概ね予想通り(1800〜1900g)でしたね。
こうして比較してみると、80 g程度の軽量化なのでそこまで軽く感じないかもしれませんが、よく考えると23mmの低ハイトから60mmディープリムに大大大増量したのにも関わらず、むしろ軽くなっているという異常なことが起こっているのです。カーボンって本当に魔法のような素材ですね。
リムテープを外すと、しっかりチューブレス対応のリム形状がお出迎えしてくれました。
中華カーボンホイールをチューブレス化するには!?
60mmディープのチューブレス化には、専用のバルブが必要
どんどんいきます。次はチューブレス化に挑戦です。
すでに何度も行ってきた作業なので目新しいことはありませんが、一つ違うのは「リムをディープ化したことで、今まで使ってきたチューブレスバルブが短すぎて届かない」という問題が発生します。
今まで使っていたのは↑の60mmのバルブですが、それよりもっと長い80mmのバルブを用意しました。
この80mmという超ロングサイズはなかなか売っているところが少なく、色々なサイトで探しました。
最終的に、DT SWISSと同じかまぼこ型ゴムを採用しているMAVIC(マヴィック)のバルブをAmazonで購入です。
2本で4000円弱(2019/7/20 購入時)となかなか値が張るので、ゴムの形状を妥協して500円くらいの中華バルブでもよかったかもしれません。
リムテープの正しい幅、知っていますか?
そしてチューブレス用高圧リムテープにはAmazonの無名メーカー品を安く購入しました。
チューブレス用のリムテープは、リムの内径 +2 mm ~ 4 mmほどのものを使うということになっています。
これはチューブレスリムの形状が(クリンチャーのリムよりも)深い谷状になっていることに関係しています。今回のリム内径は15.69mmということなので、テープは19 mmを選びました。
早速テープ貼りの作業開始です。
空気が入らないように、強く押しながらゆっくり貼っていきます。
うまく貼れました。(写真に映らない側にボコボコ空気入っているのは内緒です。)
あとは説明書通りにバルブを取り付けてから、シーラントを入れてビード上げで完了です。
シーラントの入れ方やビード上げの詳しいコツ等は以前の記事をご参照ください!
もちろん今回もチューブレス用ポンプことスペシャのインフレーターを使って、ビード上げは石鹸水不要の楽々作業でした。
なお、シーラントは元々タイヤに入っていたものをそのまま流用しました。色は薄く乳茶色っぽくなっていましたが、特に劣化してそうには見えなかったので丸々移し替えただけで完了です。
カーボンリムなので、アルミと違ってシーラントのアンモニア成分による腐食のことを一切気にしなくていいのは大きなメリットですね!
チューブレス化はものの5分で完了です!もう慣れたものです。
ディスクローターの取り外しと移植
どんどん行きますよ。お次はディスクローターの取り付けです。
元々のホイールについていたR7000系 105のローターをそのまま流用します。
このローターはセンターロック式なので、取り外しに必要な工具はたった1つだけです。
整備好きの人にはおなじみのBB工具 / スプロケットのロックリングリムーバーです。
持っている方も多いかと思いますが、シマノのディスクローターはこのBB工具をそのまま転用できます。もし持っていない方でも、洗浄や異音取りに何かと便利な工具ですので、一つ持っておくことをオススメいたします。
有名なBBBやPark Toolで買ってもいいですが、「整備するかどうかもわからないし、あまり高い工具は買いたくないよ!」という方には、上のAmazonのBIKE HANDというメーカーがとてもお手頃価格なので是非どうぞ。
工具の先端はいわゆるロックリング外しです。
ディスクローターのロックリングにはめ込み、少し力を込めて反時計回しをしてあげると簡単に外れます。
10秒で取り外し完了です。
早速新しいカーボンホイールに移し替えましょう!
手順はさっきと同じです。時計回しに20〜40N/mほどで固定します。あまり強くトルクをかけ過ぎるとローターの歪みに繋がるので、気持ち優しめに回すと良いと思います。
旧ホイールから新ホイールへ。しっかりローターは受け継がれました。
スプロケットの交換
最後の作業です。あとはリアホイールのスプロケを移植しておしまいです。
ここで必要なのは先ほどの工具に加えて、フリーホイールリムーバーです。「ムチ」と呼ばれていたりもしますね。
先ほどと同じBIKE HANDの商品です。もし両方ともお持ちでなければ、Amazonでお得な2点セットもあるようですので、この機会に整備好きの世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょう?
さて、この2つの工具を組み合わせてロックリングを外します。
外れました。105以上のグレードのスプロケットは(最後の3枚を除いて)ギアが分解できるようになっているのが低グレードと異なりますね。
順番を忘れないように、入っていた通りに並べておきましょう。
今回私はついでにスプロケを一枚一枚パーツクリーナーで洗浄してピカピカにしておきました。
見た目も走りも一気に若返るので、やはり定期的に工具で分解するのは大事な習慣だと思います。
あとはフリーボディにグリスを塗って、スプロケを移し替えます。
これでフロントもリアも走り出せる状態になりました。
備考:DT SWISSのスターラチェットについて
以前の記事で紹介したように、私の選んだDTのハブにはスターラチェットという機構が採用されており、半ばこの機構に惹かれてホイールを選んだ節があるのでついでに写真を載せておきます。
DT SWISSのフリーボディの開け方はとても簡単です。スプロケットを握って手前に引っ張るだけ。
それだけでスターラチェットとご対面です。
星型のギアが2枚重なっただけのシンプルな構造をしているため、メンテナンス性もよく、壊れにくいと評判です。
また、この星の波数をより多く細かいギアにアップグレード(18T(現在)→36T→54T)することができるので、よりペダリングの出力効率を上げたい方にもオススメです。
なお、ラチェット音は超静寂タイプで、走行中はロードノイズにかき消されてほとんど音が聞こえないレベルです。
今までの非スターラチェットのDTホイール(C1850)は結構な爆音タイプだったので、静かで心地よいです。
なお、スターラチェットを18Tから36T、54Tにアップグレードしていくとどんどん高音化&爆音化していきます。(聴いてみたいかたはこちら(Youtubeリンク))
グラベルロードにディープリムはアリ?ナシ?
さて、整備が終わったところでGRAILにホイールを装着します。
おぉ!カッコいい!
これが見たいがために買ったようなものです。感無量ですね。
ディープリム特有のいかつさが浮いてしまわないかと心配でしたが、うまいこと調和してくれているのでますます魅力的な愛車になったと感じています。
回転させたところ初期「振れ」も無いようなので、早速走りに行ってきましょう!
中華カーボン ディープリムホイールのインプレッション
というわけでここからはレビューです。
実際に走ってみて、中華特有のペラペラ感だとか、頼りなさといったものは一切感じず、まるでお店で買ったメーカー物のようなしっかりとした走りをしてくれていると感じました。
一方で、「ディープリムだから巡航速度が上がった!」なんてことは私の実力や感覚ではよくわからないというのは予想通りでした。パワーメーターを確認しても数値に出ているかどうかは微妙なところですね。プラシーボ、プラシーボ
「60mmのリムハイトは横風に煽られて危ない!」なんて話も聞きますが、私のホイールに関してはそういったこともなく、思ったより普通に乗れています。
ダウンヒル中に40km/hまで加速していると「いつもよりはハンドルが揺れるようになったかな?」と感じましたが、気にするようなほどではありませんでした。一安心です。
ダウンヒルの話が出ましたが、やはり高速度域になると抜群に加速します。これは鈍感な私にもバッチリわかりました。
一度 、40 km/hほどまで出ると50 km/hまでは一瞬でした。
いやぁ、これは結構面白いです。制動力抜群の油圧ディスクでなかったら腰が引けてしまっていた気がします。
最後にリムハイトと剛性についてです。
中華クオリティのペラペラ剛性を懸念してリムハイトを高くすることを選択しましたが、これは完全に大正解でした。
スポークの長さが圧倒的に短くなったので、以前のホイールと比べて横剛性が格段にアップしました。これによってダンシングのキレが段違いです。
「ダンシングをかけてからすぐに加速する」ということが実感でき、逆に今までは「ダンシングをかけてからホイールがたわみ、それから加速する」という微妙なタイムラグがあったのだと気付かされました。
その点このディープリムは素直というか、ガッチリしているといった感じでしなることなくグイグイ登ってくれます。ディープリムに変えたのにヒルクライムが早くなるという面白い結果になりました。(もちろん軽量化の恩恵もあるでしょうけれど)
それと、やはりチューブレス対応リムにしてよかった、と実感しました。
今回の試走ではディープリム特有の縦剛性のキツさ(=振動の痛み)を考慮して、いつもよりさらに低い4.5 barという空気圧で走ったのですが、もう最高も最高、言葉にならないほどの気持ちの良さでした。
振動をいつもの体感50%カットしているかのような魔法の乗り心地なのに、走りは爽快(スピードが犠牲になっている感じではない)という絶妙なバランスでした。
「ディープリムだから振動がダイレクトにくるだろう」なんて心配を完全にかき消してくれる走りでした。
チューブレスの「リム打ちパンクを気にせず、低圧で乗ることができる」というメリットの真の意味を知ったような気がします。
それにやはり、今までの高圧タイヤの細かい飛び跳ね(= インピーダンス損失)がいかに大きかったかが分かります。
「高圧の方がよく転がる・速い」なんて考えはもう過去のもので、今は路面の凹凸に追従して転がる低圧タイヤの時代だと確信しました。
おわりに
さて長々と書いてきましたが、結論としては「買ってよかった!」の一言に尽きます。
もちろんZIPPのような本物の高級ホイールは持っていないですし、脚力も貧弱なサイクリストなので剛性云々は話半分に聞いていただけると助かります。
ただ、性能は置いておいても、見た目のカッコよさだけで買った意味は十分ありました。
一応この無骨な「いかにも中華カーボン!」という真っ黒スタイルもいいですが、次回はカッティングシートを使った自作ホイールステッカーを作製しようと思います。
ワンポイントでうるさくならないような、お洒落ホイールになるようにデザインを考案中です。
(前回から随分と雰囲気が変わりました)
最近はブログの更新がかなり遅く(月2投稿前後)なっておりましたが、身辺のゴタゴタがようやくひと段落しそうなので、次回の投稿からは週に2記事程度更新できるかと思います。
更新頻度を上げても、ひと記事ひと記事、読者の方に楽しく読んでいただけるような内容を心がけていきますので、購読やアドバイス等よろしくお願いいたします。
それでは当ブログに興味をもち、記事をここまで読んでくださった全ての皆さんに、
ありがとうございます!またお会いしましょう!