ロードバイクでロングライド中、コンビニ休憩や食事をする際、本当にワイヤーやチェーンの鍵でロックして大丈夫なのでしょうか?この記事はそれぞれの鍵の特徴を説明し、今回購入したパルミーU字ロックのレビューを行います。
- はじめに
- 鍵の種類は主に4種類ある!
- どの種類の鍵を選ぶのがベストなのか?
- PALMY(パルミー) アルミシャックルロック 購入インプレ・レビュー
- U字ロックの収納場所
- 実際にGRAILをロックしてみよう
- おわりに
はじめに
皆さまおはようございます。
今回は、皆さまの大事な自転車を盗難から守る、大事な鍵のお話です。
高価なロードバイクやグラベルバイクのユーザーとしては、愛車が盗まれるなんて悲劇は絶対に経験したくないものです。
この記事で軽量で安全な、かつ安く購入できる鍵を一緒に見つけていきましょう。
鍵の種類は主に4種類ある!
この記事をお読みの自転車乗りの皆さまは、ほとんどのかたが最低1つはすでに鍵をお持ちになっていらっしゃると思います。
中には何種類もの鍵を組み合わせて使われているかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
自転車用の鍵は各メーカーから様々な製品が販売されていますが、それらの鍵の種類は大まかに4種類に分類することができます。
1. ワイヤー錠
別名はケーブルロックです。
もっともスタンダードかつ、どこでも入手が可能な鍵です。
(「自転車 鍵」で検索するとAmazonの一番上に出てくる商品です。)
自転車屋さんでもよく売っており、世間でもそれなりに使っている人を見る機会が多いCROPS(クロップス)あたりがこのワイヤーロックの代表格です。
構造としては単純で、金属製の細いワイヤーの周りをシリコンなどのプラスチック素材でカバーした作りになっています。
こうしたワイヤー錠のメリットは、とにかく軽いという点に尽きます。
2. チェーンロック
次もかなりポピュラーなタイプです。
先ほどのワイヤータイプのものと形状は似ていますが、素材がワイヤーから金属チェーンにパワーアップしています。
表面を覆っている布には、工具からチェーンの切断を妨げる効果もあります。
重量が増えるぶん、ワイヤーロックよりも防犯性は上がります。
3. 多関節ロック
別名ブレードロックです。
比較的近年になってから人気が出てきたタイプの鍵で、普段は畳んで小さなサイズに収納でき、広げると大きな輪になるのが特徴です。
そこそこの重さがあるものから、チェーンロックよりも軽量なタイプも存在しています。
4. U字ロック
THE・鍵とも言えるシンプルなタイプです。
これまでに紹介した4種類の鍵の中ではもっとも重量があります。
主な素材は合金のパイプなので、頑丈な作りをしています。
どの種類の鍵を選ぶのがベストなのか?
ここからは個人の趣向と人それぞれの用途によって最適解が変わってきます。
この記事では私の一例を取り上げて、GRAILでロングライドをする際にもっとも必要な鍵を見つけていきます。
1. ワイヤー錠・チェーンロックは論外
私は今までABUS(アブス)の1200というワイヤーロックを愛用してきました。
ABUSはもっとも知名度のある鍵のメーカーなので、3年間使っても壊れることがなく、満足のいく品質の製品でした。
しかしここ最近、ふと興味が湧いて鍵と盗難について調べたところ、GRAILを守るためにはこの鍵では不十分であると考えるようになりました。
その理由は、ワイヤー錠 & チェーンロックはボルトクリッパーの前では紙切れ同然だからです。
「ボルトクリッパーってなに?」というかたも多いと思います。
私も鍵と盗難について調べるまでは全く知らない名前の工具でした。
大きなチェーンカッターのような形状をしており、全長は30〜100cmほどでいくつかの種類があります。
ここで大事なことが、
・ワイヤーカッターよりもはるかに少ない力で、金属を切断できること
・小さめのバッグに入れて持ち運びができること
・安価で、どこでも入手できること
そして
・自転車窃盗犯の多くがこのボルトクリッパーを利用していること
が挙げられます。
このボルトクリッパーの前ではワイヤー錠もチェーンロックも大差なく、基本的に数秒以内で切断され、ものによっては1秒もかからないこともあります。
こちらは放置自転車の太いワイヤーロックをボルトクリッパーで簡単に切断してしまう動画です。
つまり、ワイヤー錠やチェーンロックは「もともと窃盗しにきた訳ではない一般人の通り魔的犯行」を防ぐためだけのものであり、「元から盗むために自転車に近づいてきた窃盗犯」には一切効力を発揮しないことになります。
チェーンロックならまだしも、上のCROPSのような細いワイヤーロックはボルトクリッパーどころかただのペンチでも楽々切断できてしまいます。
これではコンビニでお買い物をしている5分間ですら安心できず、盗まれなかった場合も運が良かっただけにすぎません。
メーカーが「安全」を謳う商品たち
「いやいや、ワイヤーロックでも切断されにくいこんな素晴らしい商品があるぞ!」 というメーカーの声が聞こえてくるようなものもいくつかあります。
代表格はこちらのオットーロックでしょうか。
最近になって各所でレビューを見ますし、自転車屋さんにも結構な頻度で置いてある売れ筋商品です。
もとはクラウドファンディングで生まれた製品で、150gと軽量ながら、金属プレートを埋め込んだ8000円もする頑丈な鍵・・・ということになっています。
しかし「オットーロック 切断」で検索するとわんさか出てくるレビュー記事や動画を観ればわかるように、このオットーロックですら所詮はワイヤーロック。ボルトクリッパーの前では瞬殺でした。
多関節ロックは、高価なものならかなり安全だけど・・・
ならば次は多関節ロックはどうなのでしょうか。
実はこのタイプは見た目以上に耐久性が高いです。
例えばABUS 6500あたりはU字ロックを含めた全ての鍵の中でも上位にくるほどの強さを見せます。
ABUS社の設定する15段階のセキュリティーレベルではMAXの15に位置します。
バッグに入るサイズのボルトクリッパーでは切断はほぼ不可能です。
700mmオーバーの大型のボルトクリッパーなら切断できますが、窃盗犯がそんなものを持ち出した時点でどうあがいても私たちの負けなのでそれは諦めるしかないです。
しかし弱点もあります。それは、このレベルになると非常に重くなるということです。
現にこのABUS6500は約1.5 kgあります。
これだけの重量をロードバイク本体から軽量化しようと思ったら何十万円かかることやら・・・もちろん安全には代えられませんが、それでもロングライドには重すぎます。
それでは軽い多関節ロックはどうか?というお話になりますが、これは上位の多関節ロックとはまるで別物です。
これは約600g の多関節ロックですが、関節と関節の間を狙われると、パキッと折れてしまうことが報告されています。
それでもチェーンロックよりは幾分かマシなタイプであることは間違い無いので、最低でもこのレベルの鍵は携帯しておきたいものです。
やっぱりコスパ最強はU字ロック
結論に移ります。
安全性でもっとも優れた鍵はU字ロックで間違いありません。
実は、この記事を書くまえに何百件もの盗難情報を確認してみましたが、「U字ロックで地球ロックをしたロードバイクが盗まれた」という話はほとんど存在しませんでした。
仮に盗まれたとしても、そういったプロの窃盗団にはもはや何をしても対策にはならないので諦めるしか無いでしょう。
とりあえずまともなU字ロックでさえあれば、どれほど軽量なものでも同重量帯の多関節ロック以上の防犯性能を発揮してくれます。
よって、重量と安全性のバランスがもっとも高水準にまとまっているのはU字ロックであると言えるでしょう。
PALMY(パルミー) アルミシャックルロック 購入インプレ・レビュー
という訳で、今回私がGRAIL用の鍵として選んだのはこの「PALMY(パルミー) アルミシャックルロック」というU字ロックです。
このパルミーは、鍵マニアの間ではもっとも有名なU字ロックの1つと言ってもよいでしょう。
パルミーの特徴は、
- 300g というU字ロックでは最軽量の部類
(一般的なU字ロックで500〜700 g)
- U字アームの長さが13cm
(これ以上短いと、一般的なポールと地球ロックができなくなるギリギリのサイズ)
- 2000円代という圧倒的コスパ
(ABUS 410 で5000円強)
の3点です。
まとめると、U字ロックというもっとも安全な種類の鍵のなかで、ロングライドでも気にならないほど軽く、使いものになるギリギリ最小のサイズ感で収納することができ、非常に安くて買い直しも容易な鍵がこのパルミーなのです。
Amazonで購入いたしました。
カラーはもっとも目立つグリーンを選びました。
このようにGRAILにマッチしそうなブラウンカラーもあったのですが、
鍵の存在をアピールすることがまず防犯の第一歩なので、GRAILのフレームの色からあえて浮くカラーを選びました。
パッケージの裏側です。
メイドインチャイナではありますが、販売元は岐阜県の会社のようです。
付属していたキーです。
U字ロックでよくある丸いタイプの鍵でした。
本当はディンプルキーの方がピッキング対策的にはスマートですが、この価格なのでそこは仕方がないでしょう。
一方で、3つもスペアキーが入っているのは嬉しいですね。
本体も取り出してみました。
表面の金属塗装も見事なものです。とても2000円の鍵には見えません。
試しにロックを外してみました。
U字アームの両側の先端を金属のプレートが抑える仕組みになっています。
ガッチリ固定、というよりは少しグラグラ動きますが、この価格帯・この重量なので許容範囲でしょう。
薄い黄緑色の部分はゴムでできています。
U字ロックには表面が金属むき出しのものが多いので、自転車のフレームと擦れて塗装に傷がつかないか心配になりますが、パルミーはこのゴムコーティングのおかげで安心して施錠することができます。地味にかなり嬉しいポイントです。
気になる重量測定です。
308 gでした。公称値とほぼ同じです。
「やっぱ300gってかなり重くない?」というかたもいらっしゃると思いますが、
今まで使っていたABUS1200の重量と比較してみると、
こちらが328 gなので、パルミーはチェーンロックよりも軽量なU字ロックということになります。
ついでに、ロードバイク初心者だった10年近く前にネットで購入した、やたらと重い無名メーカーのワイヤーロックも比較してみます。
圧巻の1478 gでした。
この重量ですが、おそらくU字ロックであるパルミーよりも簡単に切断できてしまうはずなのです。
こんなものを肩に掛けて走っていた昔を思い出すと、なんて非効率なことをしていたのかと呆れてしまいます。
U字ロックの収納場所
U字ロックを購入した人間が次に考えなければいけないのは、その収納場所です。
U字ロックは畳んだり、折り曲げたりすることはできませんので、他のタイプの鍵と比べてどうしても嵩張ってしまいます。
こちらは昔使っていたTOPEAKのミッドローダーとのサイズ比較です。
このミッドローダーは一般的なフレームバッグのサイズですが、パルミーの縦幅の方が微妙に大きいため、このままでは収納することができません。
そこで、U字ロックを収納するときは、事前にキーを解除して本体を分離させておく必要があります。
この状態でなら、フレームバッグの縦幅に納めることができます。
こうして、分離させておくことでフレームバッグでの運搬が可能になりました。
たまにサイクルジャージの背面ポケットにU字ロックを入れているかたを見かけますが、万が一落車した際に背中をぶつけた場合、それは背中に鉄パイプを叩きつけられることと同じことになってしまいますので、背骨に深刻なダメージがいくことを回避するためにも、体に身に着けることは避けておいたほうが無難でしょう。
実際にGRAILをロックしてみよう
コンビニのポールを想定して、まずは自宅のサイクルラックに固定してみました。
シートステーにしっかり固定できています。
この位置なら、まずボルトクリッパーは届きませんのでフレームを奪うことはかなり難しいと思われます。
実際のコンビニのポールはこれよりもっと太いので、パルミーの長さが足りなくなってしまわないようにカーブをうまく使ってあげるなどの工夫が必要です。
実際にロングライド先で柵にロックしてみました。
自転車をかなり柵に近づけても、柵+フレームの固定はできても柵+フレーム+ホイールの固定はかなり厳しかったです。
ホイールも一緒に保護したいというかたは、パルミーよりももう一回り大きなU字ロックが必要になるでしょう。
ちなみに、U字ロックの使い方は大前提として「フレームと柵の地球ロック」です。
間違っても「フレームとホイールの間をロック」やこのように
「ホイールと柵の地球ロック」なんて全く意味のない固定方法はしないようにしましょう。
これならワイヤーやチェーンでロックしているのと大差ありません。
(ちなみに、写真に写っているフレームバッグは前回自作したものですが、このサイズになるとパルミーをそのまま収納することもできます。)
おわりに
今回は、GRAILの鍵を新調いたしました。
これまでワイヤーロックやチェーンロックを使っていたかたも、一度U字ロックの導入を検討してみてはいかがでしょうか?
確かに携帯サイズは嵩張りますし、それなりの重量があるので少しでも軽量化したいロードバイク事情とは相反する特徴を持っていますが、それでもU字ロック特有の安心感があなたのロングライドを精神的にサポートしてくれるのは間違いないでしょう。
それでは当ブログに興味をもち、記事をここまで読んでくださった全ての皆さんに、
ありがとうございます!またお会いしましょう!
(おすすめ記事)