油圧ディスクロードのブレーキを、シマノのフィン付きパッドに交換しました。また、パッドとディスクローターの隙間を調節するセンタリングツールの使用感についてもレビューしています。
- フィン付きのブレーキパッドにアップグレードしよう
- シマノの現行ロード用ブレーキパッドを知ろう
- DURA-ACE, ULTEGRA, 105 (Tiagra,GRX)のブレーキパッド交換方法は一緒
- 見た目も性能もプチ向上!フィン付きパッドで"イケてる"ディスクロードに
- フィン付きパッドの左右の向きは? 一目でわかる簡単判別法
- パッドを交換する前に:ピストンを押し込んで初期位置に戻そう
- パッド交換後に音鳴りがする?隙間調節に便利なツールを使おう
- ブレーキパッドとローターの隙間を決めよう|センタリングツールの使い方
- ブレーキすると音が鳴る?それって隙間調節がうまく出来ていないからかも!
フィン付きのブレーキパッドにアップグレードしよう
皆さまおはようございます。WithGrailへようこそ。
独身の日(11.11)、ブラックフライデーの連続する11月は、インパルス・バイ月間!
"impulse buy"、つまり衝動買いです。ということで、引き続き「衝動買いしてしまった商品紹介シリーズ」の記事となります。
(11月購入商品紹介のバックナンバー)
そして今回は、SHIMANOのフィン付きブレーキパッド、L03Aとディスクローターセンタリングツールの紹介です。
それでは早速見ていきましょう!
シマノの現行ロード用ブレーキパッドを知ろう
シマノの油圧ディスク、そのロード用ブレーキパッドにはメタル製パッドとレジン製パッドの2種類があります。
そして、メタル・レジンそれぞれにフィン付き・フィン無しのオプションがあります。つまりシマノには 2x2=4種類のロード用ディスクパッドがあることになります。(ナロー・ワイドを含め実際にはもっと種類がありますが)
それぞれの型番と値段は以下の通りです。(当ブログ調べ)
SHIMANO初のグラベルコンポーネント、GRXシリーズの登場前後で型番名が変化しており、未だ市場には旧番と新番が混在しています。(性能も向上したらしい)
また、チタンver.のK04Tiという製品もあったりしました。ちょっと紛らわしいのですが、ひとまず上の表だけで話を進めます。基本的にはそれでOKです。
価格的には メタル>レジン、フィン付き>フィン無し の関係にあります。
私の愛車、CANYON GRAILの付属パッドは レジン製・フィン無しのK02Sでした。
この GRAILはCF7.0 = 105完成車、つまりグレード的には一番下です。そのせいなのか、パッドも一番安いグレードですね。
そして今回、私がアップグレード先に選んだのは同じくレジン製のL03Aです。
最も高級なメタル製にしなかった理由は、単純に「メタルパッドのブレーキフィーリングが好きではない」からですね。
メタルの「キュッ!」な強い効きより、レジンの「キュー・・」 のリニアな効きの方が好みです
雨の日やグラベルメインなら間違いなくメタル製一択なのですが、私は舗装路メインの運用なのでレジン製の制動力で十分です。レジンならローターの消耗に気を使う必要もほぼありません。
DURA-ACE, ULTEGRA, 105 (Tiagra,GRX)のブレーキパッド交換方法は一緒
さて、ブレーキパッドの交換方法に移ります。と言っても作業内容は超簡単です。
ブレーキキャリパーの真ん中にボルトピンが刺さっているので、これをマイナスドライバーで回して抜きます。
事前に、裏側にある脱落防止用のピンを外しておきます。これを忘れてしまうと、高確率でどこかに勢いよく吹っ飛んでいき発見不可能になります。
ボルトさえ抜いてしまえば、パッドを簡単に交換できるようになります。
パッドはレジンでも5,000kmくらい保ちますし、ココを弄る機会はそこまで多くないでしょう。「マイナスドライバーをライド中にも携帯すべきか?」の私の答えはノーです。
ブレーキパッドを指で挟んで引っこ抜きます。油脂がパッド表面に付かないよう手袋をしています。
左右のパッド、それにパッドを抑えていたバネが取り出せました。
舗装路を5,000km走りましたが、パッドの消耗は思ったより軽微ですね。1.0mmは残っていそうです。
シマノのマニュアルでは「0.5mm以下になったら交換」となっているので、あと2,000kmくらいは使っても大丈夫そうです。
パッドの交換時期はまだ先のようです。ですので購入したフィン付きパッドの投入は来シーズンからが妥当。
まだ交換しなくていいけれど、折角の機会なのでフィン付きとチェンジ!
見た目も性能もプチ向上!フィン付きパッドで"イケてる"ディスクロードに
Amazonでは¥2,000ほど。楽天・Yahoo!では¥1,700から売っています。
海外通販では¥1,000くらいが相場でしたが、2019年からSHIMANO製品のガイツー規制が強くなったために入手先はかなり絞られました。
私はちょうど規制のかかる直前にセール品を購入できたので、1セットあたり¥500でした。破格のお値段です。ここまで安くなることは今後あまりないでしょう。
フィン付きのパッドに交換すると、ブレーキキャリパーの厳つさが増します。よりカッコよく感じます。今となっては、むしろフィンの付いていない今までのパッドだと少々寂しく見えてしまいますね。
フィンによって放熱性能がアップすることでパッドの耐久性向上に繋がります。というのも、パッドは高熱になればなるほど削れやすくなるからです。
「価格差(1.5〜2倍)に見合うだけ耐久性が上がるか」は微妙なところだと考えています。しかし単純に交換頻度が下がるということは出先でのトラブルも減らします。安心感に直結するので、ここはお金をかける価値のある部分かなと思います。
ロングライド中に突然の雨・長い下りでパッドが擦り切れる心配を減らすことができる。大きなメリットですね。
フィン付きパッドの左右の向きは? 一目でわかる簡単判別法
通常のブレーキパッドと異なり、フィン付きパッドには左右の向きがあります。
これを間違えると空冷効果が落ちるので、正しく取り付けなくてはいけません。
パッドの裏側には「L (左)」「R (右)」の印字がされています。基本的にただこの通りに装着すればOKなのですが、結構戸惑う人も多いようです。
おそらくそれは
「前後のブレーキキャリパーは別方向を向いている(ように感じる)ので、どちらに合わせればいいのかわからなくなる」ということや、
「自転車を天地逆さまにして交換するので、そのときの左右に合わせればいいのか・それとも通常時の左右に合わせればいいのか」といったことを考えてしまうからではないでしょうか。
ですので、ここでは「L・Rの印字を気にすることなく、パッドを見ただけで左右が一発でわかる方法」をご紹介します。と言っても、特段難しいことではありません。
正しい向きで装着すると、上の写真のように「ロードバイクのフロントフォークとフィンの向きが垂直になる」ようになっています。
これはリアのブレーキキャリパーでも同様で、チェーンステーとフィンの向きは必ず垂直方向を向きます。
では左右逆に取り付けてしまった場合はどうなるのでしょうか?
その場合、下の写真のようにフレームとフィンの向きは平行になります。こうなってしまうと間違いです。
これさえ覚えておけば、たとえて上下逆さま・天地返しをしていても一発でパッドの向きがわかります。迷うことは一切ナシです。ご参考までにどうぞ。
パッドを交換する前に:ピストンを押し込んで初期位置に戻そう
古いパッドを抜いて、新しいパッドに交換します。しかしその前に、キャリパー内側のピストンを押し戻す作業が必要です。
内側に見えている、白くて円形状のパーツがピストンです。このピストンが油圧の力で押し出され、ブレーキパッドを動かします。
(この仕組みについてもっと詳しく、「油圧ブレーキはどのようにしてパッドの隙間を自動調節しているのか」について言及した記事があります。合わせてお読みください。)パッドがすり減ってくるとピストンがせり出すので、新しいパッドに交換するときにはピストンを押し戻して初期位置まで戻さなくてはいけません。
ピストンを戻さなと、クリアランスが狭いままで新品の分厚いパッドを差し込むことになるので、ディスクローターとパッドが擦ります。ひどい時には干渉してホイールが装着できません。いちどリセットすることが大事です。
SHIMANOプロやパークツール、BIKEHANDなど各種メーカーからこのピストンを押し戻す専用の工具がでています。
これは万が一「パッドを外した状態でブレーキを握ってしまい、左右のパッドがくっ付いてしまった」際のレスキューにも使える便利な工具です。
ただ原理としては「ピストンを押し戻す」ことさえできれば良いので、今回は手頃なサイズのメガネレンチを使うことにしました。
このメガネ部分をキャリパーの内部に差し込み、慎重にゆっくりと力をかけてピストンを押します。
左右両方とも最大まで押し込めば完了です。
ただし、この方法はメーカー推奨ではありません。やはり専用の工具を使うべきではあります。
特にこのピストンの裏側はセラミック素材になっていますので、変な力の掛け方をするとバリバリに割れてしまいます。
ピストンが割れてしまうと隙間調節どころではありません。「どんなにクリアランスを調整してもローターとパッドが擦る」なんて症状を引き起こしかねません。
よって、今回のように別工具で代用するときは「ピストンの一部に過度の圧力がかからないような、なるべく押し面積が広いもの」を使うようにしましょう。
しかしそんなに高いものでもないので、やはり専用工具を買ってしまうのが手っ取り早いでしょう。
パッド交換後に音鳴りがする?隙間調節に便利なツールを使おう
さて、ブレーキパッドの交換は終わりました。ですがこのままホイールを取り付けて、すぐに走り出す・・・とはいかないことが多いです。
ローターの交換・ブレーキパッドの交換のあとはローターとパッドが擦って音鳴りがする可能性が大です。実際に、今回の交換でも擦ってしまっていました。
新品の分厚いパッドに交換したばかりだと、ローターとキャリパーの隙間調整は非常にシビアです。1mmどころか0.2mm動かしただけで音が鳴り出します。
基本はキャリパーの位置を左右に動かして調節することになるのですが、最終的には左右だけでなく上下のひねりも加わります。3次元的にキャリパーを超・微調整しなくてはいけません。
「ローターとパッドを完全に平行にして、左右の隙間を等間隔に空ける」これが完璧でないといけません。
ホイールの空転で擦る音が消えたからといって、実際に走って長いブレーキをかけてみると「パオーン!」という音鳴きがし始めることもしょっちゅうです。
10分も頑張ってクリアランスを調節したのに、なんで鳴るの?
これは左右のパッドクリアランスが微妙に違っていると起こります。原因は片効きによってローターが熱変形するからです。
そんな「時間だけ吸われて、ただ面倒なだけのキャリパーの位置決め」をあっさり一瞬で解決してくれる便利アイテムがあります。
グランジというメーカーのディスクローターセンタリングツールです。
ブレーキパッドとローターの隙間を決めよう|センタリングツールの使い方
ということで、気が付いたら届いていました。購入時のお値段は¥1,100ほど。
材質は金属です。中央にはローターを挟む溝が掘ってあります。
使い方は非常にシンプルです。
溝に合わせて、このツールをローターの上に乗せます。
そしてキャリパー側の固定ネジを緩めます。
上下2本の六角ボルトでフォークに固定されているので、アーレンキーで回せば緩んでいきます。
上も下も同径のボルトです。105のキャリパーの下ボルトには緩み止めのパーツが付いていました。
ボルトが緩むと、ブレーキキャリパーが前後左右に自由に動くようになります。
ここでグランジのツールを奥まで差し込み、ブレーキレバーを全力で引きます。
これでツールの幅に合わせてピストンがせり出してきます。ツールの左右の厚みは同幅なので、ピストンの左右せり出し量も同じです。
片方の手でレバーを引き続けながら、もう片方の手でボルトを回し、キャリパーを再び固定し直します。レバーを引き続けることでキャリパーの位置が一箇所に定まります。
これで左右の隙間を同じ幅に固定することができました。
同様の作業をリアのブレーキキャリパーにも行います。
リアの固定ボルトはチェーンステーの下側からフレームを貫通して取り付けてあります。フロントよりも長いボルトです。
グランジのツールを挟み込み、ブレーキレバーを引いたままキャリパーを再度固定。
時間にして3分ほど。難しい作業は一切ナシでした。
ブレーキすると音が鳴る?それって隙間調節がうまく出来ていないからかも!
以前、ブレーキの音鳴きが酷かったために105のディスクローターからDURA-ACEのローターに交換しました。
ローターの冷却速度が上がり熱変形が抑えられたために、問題の高音問題は解決しました。
ところが最近、長い下りでブレーキをするとまた「パオーン!」という音が鳴るようになってきていました。
ローターは最高級、パッドもフィン付きのものに交換したばかり。ならば音の原因はパッドの左右の隙間差かも!
ということでグランジのセンタリングツールを使ったところ、見事に音がしなくなりました。万事解決です。
ディスクブレーキの異音の原因はたくさんあります。
以前のように、ローター性能のせいで冷却が間に合わず変形して擦ってしまう。
または今回のように、パッドのクリアランスが左右均等ではないとこれまた熱変形してしまう。
あとは、ローターやパッドに油分が付いてしまうことも原因の一つになります。ですので、ブレーキ周りを弄る際は手の油分やオイル等が付かないよう慎重に作業する必要がありますね。
ということで、今回はフィン付きパッドに交換 & クリアランス調整をしました。
油圧ディスクのロードはこのCANYON GRAILで初めてですが、色々な知識をつけてメンテナンスをしてあげることで、従来のリムブレーキや機械式ディスクよりも快適にサイクリングを楽しめています。
この冬はブレーキオイルの交換とブリーディング(エア抜き)をしようと思っています。チャリ弄りは新たな発見の連続ですので、今からとても楽しみです。
以上、WithGrailでした。記事をここまで読んでくださった全ての皆さんに、
良い一日を。またお会いしましょう!