重要なパーツであり、大抵のサイクリストにはあまり馴染みのないパーツ、BB。(ボトムブラケット)
「2020年のロードバイク乗りにとって必要な情報は何か?」ということに絞って、BBについて細かくまとめます。「BBってそもそも何?」という人から、新規格の話や剛性のマニアックな話まで網羅しています。
- BBについてまとめよう|知識がゼロの人向け
- そもそもBBってロードバイクのどのパーツ?
- BBの役割は?無いとダメなパーツなの?
- なぜBBの種類(規格)を知らなければいけないのか?|クランク交換する前に
- よく聞く「BBの規格」って? |”フレーム側”と“クランク側”のそれぞれの違い
- コンバージョンBBで規格の壁を乗り越えろ!|規格を変換する!?
- "SRAM DUB"はまた増えた新規格・・・のようでいて、過去のシェル規格との互換性アリな期待の新星
- BBの取り外し/装着するには?圧入・ねじ切りって?|フレームを傷つけない工具
- "BBの防水性"は規格により大きく異なるので注意しよう|安定のシマノ
- おわりに|BBはたいして難しい部品ではない
BBについてまとめよう|知識がゼロの人向け
皆さまおはようございます。 WithGrailへようこそ。
今回はロードバイクに欠かせないパーツ、BBについてまとめた記事となります。
BBか・・・実はよく分かっていないパーツかも・・・?
たとえば”バーテープ交換”や”タイヤ交換”などは視覚的にもイメージしやすく、初心者でも簡単に行うことができる作業です。
しかし一方で"BB交換"と聞くと、BBそのものが地味なパーツであるうえ、規格の種類の多さも相まって、初見ではハードルを高く感じてしまうものです。
BBについて、どうやって勉強すればいい?
「BB 規格」と検索すれば、たくさんのウェブサイトが出てきます。
しかし、それらを読んで勉強しようと思っても、ズラッ・・・と並んだ一覧表が出てきて目を回すだけかもしれません。
こんなのどうやって覚えればいいんだ!?
となるのは必至です。
ところが、情報をよく整理してから改めて考えてみると、2020年のいま現在「(ロードバイク用の) BBについて覚えるべき知識は、思ったより少なくて済む」ということがわかってきます。
一例を挙げるならば、「SHIMANO/ オクタリンク」というBBがちょうどいいでしょう。
(出典:https://bike.shimano.com/ja-JP/technologies/component/details/octalink.html)
このBBは、どの情報サイトにも登場します。一見すると覚えるべき規格に思えがちですが、実は今のロードバイクには全く使われていません。
明らかな旧規格、過去の遺物です。つまり、もはや最初から頭に入れる必要もありません。
このように無駄な知識を排除しつつ、2020年、いまのロードバイク乗りにとって必要な情報のみをまとめます。
全く知識のない初心者でも、難易度抑えめでBBの世界に入門してみましょう。
そもそもBBってロードバイクのどのパーツ?
BB、読み方はそのまま「ビービー」です。
正式名称はボトムブラケット(Bottom Bracket)なので、その2つの頭文字を略してBBと呼ばれています。
BBは、クランクが生えているところに埋め込まれています。
フレームと一体化しているように見えますが、れっきとした取り外し可能なパーツです。
なお、この記事でフォーカスするのはロードバイク用のBBのみですが、それ以外にマウンテンバイク用のBBもあります。
というよりも、自転車である限り、そこには必ずBBが装着されているはずです。もちろんママチャリにも、ミニベロにも、BMXにもリカンベントにも全てBBが必要です。
Fujiのミニベロロード、HELION Rにも当然BBが装着されている。
BBの役割は?無いとダメなパーツなの?
では、BBの役割とはなんでしょうか?
簡単に言ってしまえば、BBはクランクシャフトを包む部品です。
左右のクランクをつなぐこの筒はシャフトと言ったり、スピンドルと呼ばれることもありますね。
ペダルを漕ぐときにクランクシャフトは回転するわけですが、その回転力はBB内部のシールドベアリングに伝達します。
ここで、もしBBのないロードバイクを作ったとしたら、一体どうなってしまうのかを考えてみましょう。
クランクシャフトが、フレームとじかに触れ合うことになります。
こんな自転車がもしあるのなら、ペダルを漕ぐたびにフレームが削れてしまうことでしょう。19世紀の自転車レベルです。
ですのでBBが装着され、ベアリングが回転力の緩衝を行うことでクランクがスムーズに回転するようになっています。これがBBの役割です。
なぜBBの種類(規格)を知らなければいけないのか?|クランク交換する前に
BBにはたくさんの種類があります。大きさや横の長さ、装着方法が様々です。
例えば、もし「自分のロードバイクのBBを交換したい!」とショップで適当にBBを買ってきたとしても、そのBBはあなたのフレームに適合しない可能性がかなり高いです。
また、「クランクを交換したい!」と新しいクランクを用意しても、BBがそのままだとクランクが入らないことも考えられます。
BBが適合しない?クランクが入らない?どういうこと?
<キーポイント>ここだけは押さえておきたい!
大切なのは、BBが触れる2つの場所、すなわち
- フレームのBBシェル(BBを入れる穴) の 大きさ
- クランクシャフト(クランクの軸) の 太さ
の両方を知っておくことです。これが自分のロードバイク・クランクに「適合したBB」を選ぶ絶対条件です。
つまり、おおざっぱに言えば、
①自分のロードバイクの「BBシェルの大きさ(規格)」(= BBの外径・幅)を調べ、
②自分の使いたい「クランクのシャフト(スピンドル)径」(=BBの内径)を知り、
③その両方にマッチするBBを選べばOK!
ということです。
BBの左右幅・装着方法(ネジ/圧入)などは簡略化していますが、一応はこれがBBの基本的な考え方です。
これだけ押さえておけば、これ以降の話も頭にすんなり入ってくると思います。
よく聞く「BBの規格」って? |”フレーム側”と“クランク側”のそれぞれの違い
さて、フレームとクランクに合わせた「適切な規格のBBを選ばなくてはいけない」というところまでは分かりました。
それでは、俗にいう「BBの規格」とはどんなものでしょうか?
ロードバイク界隈では「BBの規格って乱立してるから、探すのに困っちゃうよ~」という話をよく耳にします。
初心者の方が「BBって難しそう」と感じてしまうのも、半分くらいはこの規格の乱立のせいでしょう。
先ほどの図解で表したように、
BBには外径や内径、横幅に様々な種類があり、規格ごとによってその組み合わせはまちまちです。
加えて、装着方法として主に2種類、ネジ切り式と圧入式があります。
さて、ここで、
ふーん、BBってたくさん種類があるんだな~
だけで認識を終わらせてしまうのは、非常にもったいないことかもしれません。ここは一歩踏み込んで、
- 「どうして規格がたくさん生まれるようなパーツなのか?」
- 「誰がどんな目的で規格を増やしているのか?」
というところまで学んでいくことにしてみましょう。
どの分野も、今までの背景を知ることは大切!かも
視野が広がって、全体を見渡せるようになるのは大事ですよね。今後の開発の流れを予測できるので、新しい規格が出たとしても知識のアップデートが容易になります。
フレームのシェルサイズの規格が乱立している!|BB外径との関係
まず、BBの外径はフレーム形状ありきです。
キャノンデールやスペシャライズドなどのフレーム製造ブランドが乱立させたのはフレーム側のBBシェルのサイズです。
主要なBB規格についてのイラスト。ここではフレーム側のシェルサイズに着目した。
このように、ロードバイクのBBシェルの横幅はさまざまで、BBの規格ごとによって異なります。また見てわかるように、圧入幅(シェル内径)もまちまちです。
基本的に、BBシェルの横幅が長ければ長いほど、いわゆる"BBまわりの剛性"がアップします。
"BBまわりの剛性が高い" = パワーをかけた時のエネルギー効率(直進方向の運動への変換率)が高い
ということなので、BBシェルの剛性はフレームを設計する上でもっとも重要なポイントの一つと言われています。
- BB90 (=TREKの独自規格)
- BB30A (=Cannondaleが提唱するBB30の改良版で、シェル幅が68→73mmに増量されている)
などの横幅の広いBB規格が開発され、世に出てきた背景にはこの剛性面が関係していたわけですね。
クランクのシャフト幅の規格が乱立している!|BB内径との関係
一方でBBを造る側、つまりSHIMANOやCampagnolo、SRAMのようなコンポーネントメーカーはクランクのシャフト(スピンドル)の太さで競合他社との差別化を図ります。
他社のクランクに交換したくなったら、それぞれのクランクシャフト径にぴったりな内幅のBBが必要です。BBの内幅はクランクありきです。
元来、このシャフトの太さは24mmでした。現行のシマノも24mmを使い続けています。
対するカンパニョーロは25mm(しかも左右分割)、そしてスラムは28.99mmを打ち出します。
また、BB30系列(BB30, BB30a, OSBB, PF30など)はその名前が示すように、BB内径が30mmです。つまり、自動的に太さ30mmのシャフトをもつクランクが必要だということになります。
24mm幅のクランクには24mm内径のBBを。30mmには30mmを。
ですので、フレームがBB30やBB30aで作られているキャノンデール、OSBB(ここ近年のOSBBは実質BB30ですが)にほぼ統一されているスペシャライズドあたりの完成車には、自社ブランドのクランク(太さ30mmシャフト)が装着されていることが多々あります。
キャノンデールが誇る超軽量クランク、"ホログラムSi" も30mm規格だ。
(出典: https://www.cannondale.com/ja-jp/bikes/road/race/systemsix/systemsix-carbon-ultegra?sku=c11400m1051 )
Full Speed Aheadやプラクシスワークスのクランクもこの30mm規格に追従しているため、BB30の(安い)完成車にはこうしたサードパーティ製のクランクもよく見かけますね。
15万円以下クラスの完成車でお馴染み、ゴッサマー。即交換されがち。
(こうした内径30mmBBを標準装備するメーカーのロードバイクで、24mmのSHIMANOクランクを使うには?という疑問には後ほど解説します。)
シャフトの太さを変える理由は、先ほどと同様に
”シャフトが太くなると、剛性がアップする” ためです。
ただしシャフトは金属部品のため、太くするとそれだけズッシリと重量が嵩んでしまうことになります。
SRAMが30mmでもなく24mmでもなく28.99mmという中途半端な太さに舵を切ったのは、この「剛性と重量のバランスがちょうどよく釣り合うラインが28.99mmだった」ということにも起因します。
さてつまり、BBというパーツは「フレーム側のBBシェル径」と「クランクシャフト径」という2種類のそれぞれ規格が乱立しやすい部分に、同時に接触せざるを得ないパーツなのです。
これなら、BBの規格がたくさんあるのにも納得がいきますね。
コンバージョンBBで規格の壁を乗り越えろ!|規格を変換する!?
ここまでで、BBの規格の乱立と、それに伴うクランクの制約があることが分かりました。
あれ?・・・でもBB30のはずのスペシャのロードに、24mmのはずのシマノのクランクがついている完成車を見たことがあるよ?
ある冬の日のSPECIALIZED DIVERGE(グラベルロード)。SHIMANOのTiagraが装着されている。
そう、「BB30のフレームでもシマノクランクが使いたい!」という要望は当然のようにユーザーからわきあがります。
その期待に応えるのが、コンバージョンBBと呼ばれる製品になります。
BBB社やpraxisworks社など、サードパーティ製が主です。
上のリンクのコンバージョンBBは、BB30規格のフレームに入るように外幅が42mmですが、シマノのクランクが入るように、内幅が24mmに変換されています
シャフトの通る穴の大きさを、細く変換するイメージですね。
これがConversion (=変換)の名を冠するワケです。
また類似品として、もっと手軽に「BB30規格のBBの内側にスペーサーを挟む」という方法で内径を無理やり30mm→24mmに小さくする拡張パーツも存在します。
名前はBBアダプターだったり、BBコンバーターと呼んだりもします。
上記のコンバージョンBBか、BB30+BBコンバーターを使うことで、ようやくフレーム側のシェル規格に翻弄されることなくシマノの24mmクランクを使うことができるようになりました。
アダプターはお手軽で便利ですが、そこそこ重量のあるパーツ(50〜100gほど)ですので、ロードバイクの軽量化に重きを置いているユーザーの方は要注意です。
さて、これでBBの規格についての説明はひととおりおわりました。
あとは、2020年のサイクリストにとって必要(になるかもしれない)、実用的なトピックにフォーカスしておしまいにしましょう。
"SRAM DUB"はまた増えた新規格・・・のようでいて、過去のシェル規格との互換性アリな期待の新星
2018年にSRAMが新たに打ち出したBB規格、それがSRAM DUB(ダブ)です。ここではまだ真新しい、このDUBについて簡単に解説します。
DUB規格を採用したロードコンポは現状、
- RED AXS ( =デュラエースDi2相当)
- FORCE AXS ( =アルテグラDi2相当)
の2つです。
読み方は"レッド アクセス"と"フォース アクセス"。声に出してみるとやけにカッコいい響きです。
どちらのグレードも12速で、しかも電動無線変速です。まさに最新鋭で、今の段階のコンポ業界では唯一無二です。
2019年・20年度のハイグレードな完成車に多く搭載され、使用ユーザー数・評価ともに安定して増加・上昇傾向にあります。
ですので、DUBについて知っておくことは今後役に立つ可能性が高いですし、ここでも触れておくべきだと思いました。
DUBはユーザーフレンドリー?|アダプター要らずのコンバージョンBB規格
DUBの大きな特徴は、前述した28.99mmというクランクシャフトの太さでしょう。30mmでも28mmでもない、かな~りマニアックな幅になりました。
DUBの登場時、巷の自転車界隈では
『まーたBBの規格が増えるのか・・・』『勘弁して~』といった否定的な反応が多かったと記憶しています。
DUBのひとつ前の規格はSRAM GXPといいました。
世にも珍しい”左右異径”のBB/スピンドルです。(右が24mm、左が22mm) これはBBにかかる圧力を減らして耐久性をアップさせるためだったらしい。ホントか?
『おとなしく左右24mmならシマノと互換性もあったのに、なんでわざわざ・・・』なんて声もよく聞きました。
そんなSRAMがまたしても独自の新規格を出したということで、DUBもやはり否定的に映った人も多かったのでしょう。
しかし今回のDUBはGXPとは違い、互換性もウリにしているBBです。
というのも、「BB30フレーム用のDUB」 「BB86フレーム用のDUB」・・・というように、各シェル側規格に対応した、それぞれのDUB BBが同時発売されたのです。
つまり上で説明したコンバージョンBB的な商品が、SRAM純正で元から用意されていたわけですね。
(これはSHIMANOの、「我々シマノの推奨するBB86 (or ねじ切り)の入らないフレームに使いたいのなら、他所のコンバーターで勝手にやっといて」というスタンスとは真逆です。)
DUBの種類は、ねじ切り(JIS/BSA)、BB86、BB30、BB30A、PF30、PF30A、BB386、BBrightを網羅しています。
これでだいたいのメーカーのフレームに対応でき、SRAMのクランクを取り付けることができます。
(BBシェルの幅が極端に狭い規格のために、そもそも28.99mmのスピンドルが挿入できないBB90 (TREK)はDUBに対応出来ないため、GXP規格で用意された12速AXSを使う必要があります。)
12速化した結果、BBの互換性がより重要に
ところで、1世代前までのSRAMはまだ、SHIMANO同様の11速でした。
実は、この世代はSRAMとSHIMANOのコンパチ組み、つまりミックスさせて使うことが(推奨かどうかはさておき)可能でした。
SRAMの電動無線変速機を使いつつ、クランクやチェーン、BBはシマノで代用する、なんて便利な使い分けができたわけです。
よって当時は、わざわざGXP規格のBBに打ち替えて(+他社のコンバージョンBBを用意して)まで、SRAMのクランクを使う必要が無かったといえば無かったのですね。
ところが、今回のスラムは新たに12速になりました。チェーンもクランクも形状が異なるために、11速のシマノとの互換性はありません。
SRAM AXSの12s チェーン。耐久力を確保するために片側が平坦化した。
AXSの12速ディレーラーを使うには、必然的にスラムの12速用のセット、そしてDUB規格のBBを使わざるを得ません。
これでまたしてもサードパーティのコンバージョン頼りだとしたら非難轟々もやむなしだったかもしれません。しかし前述のようにDUBは、はじめからほぼ全てのロードバイクのフレームに対応しています。
こうした面から、新入りのBB・DUBはそこそこユーザーフレンドリーな新規格になったと言えそうです。
BBの取り外し/装着するには?圧入・ねじ切りって?|フレームを傷つけない工具
そういえば、まだBBの取り付けかたを話していませんでした。
最近の大体のロードバイクは"圧入"という作業によってBBをシェルに取り付けることになります。
使う工具はBBリムーバー(インストールツールとも)です。
仕組みはとても単純です。面で押すだけ。取り外すときは同様に、内側から押し出します。
よくハンマーで叩いて圧出する方もいます。確かにハンマーは単純で素早く取り出すことができますが、かなり強い力で叩くことになるため、カーボン繊維へのダメージがちょっと気になりますね。
私のような心配性の方は専用の圧入工具を購入して、じっくり圧力をかけて取り外した方がいいように思います。
一方で圧入式ではなく、昔ながらのねじ切り式BB規格 (JIS/BSA、ITA)はもっと簡単に脱着できます。
専用工具で回すだけでBBが固定されていきます。
確実な装着方法ではありますが、シェル側に切ってあるネジの精度が求められるために、カーボンフレームでは消えゆく規格でもあります。(Pinnarelloなど、一部ブランドはねじ切りBBに回帰したこともある)
BBと車軸が一体化している、スクエアテーパー (旧規格)
ねじ切りBBの一種として、スクエアテーパーというギリギリ残っている規格もあります。
クロスバイクが主な使用先ですが、一部の安価なロードバイクやランドナーにも使われていることがあるので、ちょっとだけ触れておきます。
2世代前の規格ではありますが、消えることなくいまだにSHIMANOから販売されています。(1世代前は前述のオクタリンク)
特徴としては、BBと車軸が一体化しており、重量もズッシリと重たいという点です。
旧規格の四角穴の空いているクランクしか対応していないので、必然的に現行のロードバイク用クランクは使えないことになります。
"BBの防水性"は規格により大きく異なるので注意しよう|安定のシマノ
最後に、規格ごとのBBの特性について触れておしまいにしたいと思います。
私のグラベルロード、CANYON GRAILのBBはSHIMANO製の圧入式BBです。
いわゆる(PF)BB86(92)と呼ばれる規格ですね。
こんどデュラエース相当のBB(同規格)にアップグレードしようかなとも考え中です。
この手のBBは、なんと言っても防水性が高いです。GRAILで雨の中、泥の中をじゃぶじゃぶ走っても、サビが全然気にならないほどです。
もともとBBはメンテフリーの部品 (ベアリングのグリスアップで延命できるが、交換が基本)ですが、SHIMANOのBBはその寿命が非常に長い、優秀なBBとして有名です。
シールドベアリングが樹脂のカップ内に収まっているため、構造的に水の侵入に強いからですね。
ところが一方で、世の中にはBB30やBB90のようにベアリングをむき出しでそのままシェルに打ち込むタイプのBBもあります。
こうしたBBは前述のBB86とは対照的に、浸水に対して非常〜に弱いつくりとなっています。
2年間、雨天走行ありのBB90です。TREKの DOMANEから取り出してきました。
見るも無残、酷いサビ具合です。特にノンドライブ側の固着が酷かったですね。(チェーンリングの無い側は、フレームから流れ落ちた水がそのまま侵入しやすい)
BB90の内径はBB86と同様の24mmなので、この2つのBBはどちらもSHIMANOのクランクがそのまま使えます。
この防水性の差だけ見ると、「BB90が劣っており、下位互換の規格なのではなかろうか」と思ってしまうかもしれません。
しかし、カップ・スリーブ付きBBと比較して、BB90のようなベアリングむき出しBBはとにかく軽量です。無駄なパーツが一切ありません。
前述の、90mmの幅広シェルによる高剛性という面もありますし、一概にBBにおいて「どの規格がどの規格より優れている」ということは判断できないと言えるでしょう。
おわりに|BBはたいして難しい部品ではない
今回はここまでです。
BBについて、2020年のいま、必要な話はおおかた書ききったと思っています。
(各規格についての詳しい情報は、この記事の各画像に記載してあるので必要に応じて確認してみてください。より詳細なことは販売メーカーのSpec表を見れば事足りるかと思います。)
BBは、完成車はもちろん、フレームセットでも購入時から取り付けられていることがあります。オーバーホールの交換時も"プロショップに任せる"という人が大多数だと思いますので、サイクリストにとって個人的に触れる機会がかなり少ないパーツでしょう。
それゆえ苦手意識をもつ人が多いのにも納得がいきますが、こうしてまとめてみると意外にも単純で、ユーザーが覚えるべき知識もそこまで多いというわけではありません。
冬のオフシーズンはメンテナンスの絶好のチャンスです。
この機会に、ご自身のロードバイクのBBを確認して、ちょっと弄ってみる、なんて時間はいかがでしょうか?
以上、WithGrailでした。記事をここまで読んでくださった全ての皆さんに、
良い一日を。またお会いしましょう。