ロードバイクのフレームのキズを補修するため、サンドペーパーとコンパウンドを用いた研磨と鏡面仕上げを行いました。自宅のDIYで出来るやり方と、クリアー塗装を行ったフォークを実際に磨き上げてみた結果をまとめています。
- フレームを磨いて新車よりも綺麗なロードバイクに!?
- 磨きの道具はホームセンター・Amazonで揃う
- 本当にクルマ用品で補修できるのか?|まずはお試しで細部のみ
- クルマ磨き用コンパウンドを使ってどんどんピカピカのフレームに!
- 徐々に細かなコンパウンドで磨く|鏡面磨きへの道
- 超微細コンパウンド&メガネクリーナーで鏡面磨きの仕上げ
- フレームにクリアー塗装をかけて、さらにピカピカ・テカテカ度アップ
- 鏡面磨き本番|傷・塗装のムラも補修して新品以上のツヤへ
- おわりに|初心者でも問題なし!
フレームを磨いて新車よりも綺麗なロードバイクに!?
皆さまおはようございます。WithGrailへようこそ。
今回のテーマはズバリ、「フレームのキズ消し&ツヤ出し」です。
ロードバイクは、どんなに丁寧に扱ったとしてもどんどんと傷が増えていってしまうものです。こればかりは仕方がありません。
この摂理はエントリーグレードだろうが高級車だろうが変わりません。
この「塗装の傷」に対する、根本的な解決方法イコール再塗装です。
しかしながら我々一般的サイクリストにとって、再塗装の技術的ハードルは高すぎると言わざるをえません。
購入しなければいけないスプレーガンなど各種道具、シンナー対策に塗装設備・・・これら強大な壁の存在から、そもそも再塗装を一考することすらないかもしれません。
ですので、我々にできるのは「傷がつく前にガラスコーティングして強度を上げる」ということくらいのものです。
(初心者でも簡単に施工できるコーティングは以前の記事↑で取り上げました。)
ですがどうやら、鏡面磨き上げという作業で傷を修復できるという情報が!
磨く・・・?それって初心者でも失敗せずに出来るものなの?
今回はその磨き上げ、いわゆるポリッシュ加工について取り上げます。それでは早速見ていきましょう!
磨きの道具はホームセンター・Amazonで揃う
いきなりですが、鏡面磨きのためのグッズを一気に揃えてしまいました。
すべてホームセンターで購入して、金額は3000円弱でした。思ったよりお手頃で助かります。
ほとんどがHolts (ホルツ)という有名なカー補修用品メーカーの商品です。
そう、ロードバイク含む自転車のカテゴリにはこういった補修ケミカルはほとんど無いのですが、一方でクルマやバイクのカテゴリではかなり充実しています。
ですので、「ロードバイクを補修したい!」となった際はこうしてクルマ用補修用品コーナーを探せば、あっさり解決するわけですね。
本当にクルマ用品で補修できるのか?|まずはお試しで細部のみ
さて、いよいよ傷の補修・・・なのですが、やはりいきなりフレーム全体を磨くのは躊躇します。
もしうまくいかずに、フレーム全体が白く変色、むしろ傷だらけに・・・なんてなったら目も当てられない!
ということで、まずは比較的目立ちにくいチェーンステーの一部でお試し施工してみようと思います。最悪失敗したとしても、チェーンやディレーラーに隠れるので気になりません。
ちなみに前提として、今回は「鏡面磨き」ですので、マット塗装のフレームに使える方法ではありません。
あいにく私の愛車・CANYON GRAILはマットカラーですので使えませんね・・・。
ですので今回は、ちょうど知人から預かっているワインレッド・グロスカラーのフレームを使っていきます。
(もちろん施工・撮影許可はとっています!)
さてさて、まず登場したのはホルツの耐水サンドペーパーです。要するに、紙ヤスリで削っていくわけですね。
お値段は500円しないくらいです。お手頃。
今回は、傷をつけるために#400番のサンドペーパーでフレームをこすってからスタートです。
ちなみにヤスリの番号は、数字が大きくなればなるほど細かく微細なペーパーになっていきます。この商品は#400、800、1200、2000の4枚セットのため、#400が最も粗く傷をつけやすいペーパーになります。
比較のため、マスキングテープで左右に仕切りを作りました。
左:ヤスリで傷をつけ、今回磨いていく面 右:比較のため元のピカピカのまま です。
流石に#400番でこするとフレームが白く変色してしまっています。
はたして、この左側は鏡面磨きによって、元の新品のような輝きを取り戻せるのでしょうか!?
まずは#400から800、1200そして#2000番へと徐々に数字を上げてヤスリがけをしていきます。
耐水ペーパーですので、水に濡らして使用します。これを水研ぎと言うそうです。
なぜ水研ぎをするのか?|から研ぎではダメな理由
サンドペーパーでフレームを削ると、当然ですが削りカスが出てきます。
その削りカスが目詰まりを起こしてしまうため、そのままではヤスリの削るパワーがどんどん落ちてしまいます。
そこで水を使うことで削りカスがそのまま流れてくれるため、目詰まりすることなく、結果的に早いスピードで削ることができるようになるという寸法です!よくできてますね!
上の写真が#2000番まで削ったあとになります。#400番の時よりは滑らかな表面になりましたが、いまだに白く濁った色のままです。
クルマ磨き用コンパウンドを使ってどんどんピカピカのフレームに!
次に使うのがこちらのコンパウンドと呼ばれるケミカルです。簡単に言ってしまえばハミガキペースト状になったヤスリですね。
お値段は800円ほどでした。Amazonならもっと安いようです。
コンパウンド磨きをするときには、加えて専用のスポンジが必要です。これも買いましょう。
2個入りで400円。
スポンジとして見ると安くはありませんが、仕上げの出来栄えに大きく関与するためしっかりとこの研磨用のスポンジを用意した方が無難そうです。
私は貧乏性なので、スポンジは切り分けて使うことにしました。
あとで説明しますが、コンパウンドごとにスポンジの使い分けが必要だという点でも、このように切り分けて使うのがベストだと思います。
コンパウンドの使い方はいたって簡単です。スポンジに適量のコンパウンドを垂らしてから、フレームを軽くポンポンと叩きます。
あとは適度な力をかけながらこするだけです。コンパウンドがなくなってきてスポンジの「キュッキュ」という音がしてきたらコンパウンドを足します。
このコンパウンドは粒子サイズ50ミクロン(=μm)の「粗削り用」です。
仕上がりはそこそこで、ヤスリでついた白い濁りがほとんど消え、少しですが光沢が出てきました。
徐々に細かなコンパウンドで磨く|鏡面磨きへの道
最後に登場するのがこちらの「仕上げ用」コンパウンドの3点セットです。
ホームセンターで1800円ほどで購入しましたが、どうやらAmazonには先ほどのスポンジなどが入ったお得なセットも用意されていたらしいです。
失敗した・・・Amazonで買えばよかった・・・。
仕上げ用でも、作業内容は先ほどと同様です。こちらのコンパウンドは一気に粒子が小さくなって7ミクロンです。
調べてみたら、牛乳に入っているコロイド粒子が平均2.5ミクロンらしいです。
磨いては継ぎ足し、磨いては継ぎ足し・・・を繰り返して5分ほど研磨しました。
いまはお試しで施工面積が狭いので一瞬で終わりますが、今後フレーム全体を施工するとなると結構骨が折れる作業になる予感がします。
研磨結果。50ミクロンから7ミクロンへの違いはよくわからない?感じです。
次に1ミクロンのコンパウンドに変更して磨き続けます。
そうそう、コンパウンドを変えるごとにスポンジは別のを使いましょう。
スポンジに前のコンパウンドが残った状態では、粒子サイズを徐々に小さくする意味がなくなってしまいますからね。
1ミクロンも研磨終了です。写真ではわかりづらいですが、このへんから光の映り込みが強くなってきました。
ですがいまだにマスキング右側の施工前と比べると、輝きは弱いままです。
超微細コンパウンド&メガネクリーナーで鏡面磨きの仕上げ
さあ、いよいよ最後のコンパウンドです。粒子サイズは0.2ミクロン。
インフルエンザウイルスの大きさが0.1ミクロンらしいです。
とにかくすごい細かい!ので、ここからは今までのスポンジではなく、より目の細かなメガネクリーナーを使いました。
クリーナーにコンパウンドを付けて、フレームを磨いていきます。
結果がこちら。写真でも蛍光灯の映り込みが一気にクリアになったことがわかると思います。
実際に肉眼で見ても、マスキングテープの左右でフレームのテカリはほぼ同じで見分けがつかないほどになりました。
とても#400のヤスリで傷を付けたあととは思えません。
これで、
鏡面磨きのお試しは成功!と言って良いと思います。
ようやく本番に進むことができますね。
フレームにクリアー塗装をかけて、さらにピカピカ・テカテカ度アップ
以上より、初心者でも研磨によってピカピカの鏡面仕上げができる、ということがわかりました。
そこで磨き上げの前に、フレームの上からさらにクリアー塗料を吹き、さらにヌルヌル/ツヤツヤな塗装にすることにしました。
ところがこのクリア塗装に関しては、さらにもう一つ記事がかけそうなくらい奥深いものでした。ですので今回は深く触れないことにして、今後これをまとめた記事を投稿することにいたしました。
この記事では、すでにクリアー塗装済みのフレームを使い、そこから鏡面磨きをすることにフォーカスしていきます。
鏡面磨き本番|傷・塗装のムラも補修して新品以上のツヤへ
さて、それでは本番です。使うのはこちらのフロントフォークです。先ほどのお試しよりもはるかに施工面積が広くなりました。
とは言え、施工の順序は同じです。「サンドペーパーの水研ぎ→コンパウンド研磨」の流れです。
今回は、水研ぎの際に霧吹きを投入してみました。塗布する水の量を調節でき、一度に広い面積に吹きかけることができたので、非常に使いやすかったです。
100円ショップの園芸コーナーに売っているので、こちらも購入をおすすめします。
今回は一気に結果の写真だけ見ていきましょう。
まずはサンドペーパーの水研ぎ後です。
白く細かな傷がつき、塗装のテカリは完全に消えています。マット塗装のような掠れた色目になってしまいました。
フレームの横に文字のプリントされた紙を置いてみましたが、反射による映り込みは見られません。
続けて、50から7ミクロンまでの粗めコンパウンドでの施工後です。
表面のテカリが復活し、 文字の映り込みもうっすらと見えるようになりました。
とは言えクリアー塗装のムラやデコボコ感はバッチリと残ってしまっています。
最後に、0.1ミクロンまでの鏡面仕上げ後の写真です。はたして結果は?
すごく・・・ヌメヌメです・・・。
いやぁ、凄いですね。まさかここまでテカテカに補修できるとは思っていませんでした・・・。
まさに鏡のように文字が写り込んでいます。ここまでくると、並大抵の完成車の初期塗装よりはるかに美しい仕上がりです。
それもそのはず、ロードバイクの工場では流石に一本一本手作業磨き・・・というわけにはいかないでしょうし、電動のポリッシャーを使っていると思います。
今回のように丹精込めて手磨きをした方が、工場出荷状態よりも上質な鏡面になったというわけですね。
おわりに|初心者でも問題なし!
というわけで、結果は
全くの初心者でもOK! グロス塗装なフレームの人はキズ消し・光沢上げのために是非やるべき!!
とまとめて良さそうです。
なお、作業時間はフロントフォーク1本で30分〜1時間が必要でした。
フレーム全体となると、3時間くらいはみておいた方がいいと思います。手作業では速度に限界がありますね。
ただ時間をかけてフレームを磨いていると、ロードバイクに非常〜〜〜に愛着が湧いてきました。
それは人それぞれだと思いますが、愛車をもっと好きになるキッカケになるかもしれませんね。
(鏡面の映り込みが凄まじい。)
思った以上にお安く、お手軽に挑戦できるので、冬の屋内作業にはもってこいだと思いました。
今のロードバイクをもっと乗り続けたいかた、キズを綺麗にしてみたいというサイクリストのかたは是非鏡面仕上げ(ポリッシュ加工)にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
(例のAmazon限定、お得なセット)
以上、WithGrailでした。記事をここまで読んでくださった全ての皆さんに、
良い一日を。またお会いしましょう。