CANYON のグラベルロード、GRAILの組み立て直後に「WAKO's バリアスコート」を塗布することによって、フレームのコーティングを行いました。
塗料の使い方やその結果についてまとめています。
はじめに
おはようございます。
今回は予告通り、GRAILのコーティング塗装 編をお届けいたします。
皆さまはご自身のロードバイクのフレームにコーティング処理を行っておりますでしょうか?
この作業をするとしないとでは、数ヶ月後には大きな差になっているかもしれません!
新しいロードバイクが届いた日にすべきこと
前回の記事にてようやく完成したGRAILですが、
組み上がった嬉しさのまま、勢いでいざ試走へGO !・・・というわけにはいきません。
私は今回、フレームのコーティング処理 を初日に必ず行おうと決めていました。
その理由として、「マットカラーのフレームは、そのまま使っていくと経年劣化によってテカテカなグロスカラーのフレームに変化してしまうから」ということが挙げられます。
特に、体やフレームバッグと擦れた箇所はすぐにマット塗装が剥がれてしまい、まばらな塗装ムラのように見える、残念な発色になってしまいます。
私がGRAILを買う決心をしたのは、この銅色フレームの色の美しさに惚れ込んで・・・というところが大きいです。
ですので、「塗装が剥がれてしまうのを何としても遅らせたい・・・!」という願いのもと、フレーム保護のためコーティング処理をすることにいたしました。
(他のメーカーでは滅多に見られない、深いブラウンのダウンチューブ)
そして、コーティング処理をするにあたって一番適した日は、自転車が家に来たその日にほかなりません。
一般的に、フレームに汚れや水分がついた状態でコーティング処理をすると、綺麗に塗布できなかったり、かえってムラになったりしてしまいます。
ですので、自転車を購入した直後の一番汚れの少ない段階でコーティング処理するのがベストなわけです。
コーティング塗料になにを選ぶか?
ロードバイクのガラスコーティング剤は数多く存在しますが、その中で人気が高く、レビューの数も多いものが2つあります。
1つは
AQUADROP GLASS COATです。
このコーティング剤は、塗布した表面にしっかりとしたガラスの膜ができ、ピカピカ感が増すといったタイプのガラスコーティング剤です。
同種の製品の中でも品質が高いらしく、他の方のブログでもかなり評判が良いです。
なにやら、「本当によいガラスコーティング剤なら日光によって劣化するはずだから、色付きのビンに入っている製品を選べ」という教えがあるらしく、
確かにほかの市販品のガラスコート剤は半透明なビンに入っているものもちらほらあるなか、このAQUADROP GLASS COATは化学薬品の遮光ガラスような褐色ビンに入っているため確かに効力がありそうに見えます。
そうしてもう1つは
WAKO'S バリアスコート(VAC)です。
自転車乗りならみんな大好きワコーズです。
こちらはAQUADROPとは異なり、ガラス系コーティング剤となっており、フレーム表面にガラスの層ができる・・・。訳ではなく、より薄いツルツルの層が保護膜になるというものです。
さて、どちらを選ぶべきでしょうか?
今回は断然、WAKO's 一択です。その理由について解説していきます。
塗装の耐久性
耐久性について考えます。
それぞれのコーティング剤は1回の塗布で、
・AQUADROPは3年
・WAKO’sは6ヶ月
コーティングが持続します。
これだけ見るとAQUADROPの方が優れていますが、そもそもWAKO'sの6ヶ月というスパンも十分に長いと思います。
むしろ塗装に失敗してムラができてしまったとしてもWAKO'sならまたすぐに再チャレンジできるということなので、塗装の初心者向きと言えます。
特に私は整備・チャリ弄り大好きなので、半年に1回は大規模なメンテナンスをします。
つまりそのタイミングで再塗装をすればよいので、むしろこの耐久年数は、私の整備のサイクルにマッチしていて良いです。
GRAILとの相性| マットカラーに合うコーティング剤は?
次にGRAILの塗装との相性について考えます。
GRAILのフレームは元からマット塗装なので、できればコーティングをした後もマットな質感ができる限り残っていて欲しいです。
その点で言えば、ガラス膜ができてしまうAQUADROPはよりグロス塗装に近づいてしまうため、あまり適しておりません。
しかしWAKO'sなら、マット感をなるべく失わずにコーティングをすることができます。
劣化について
聞いた話によるとガラスコーティング剤は劣化すると、文字通り爬虫類の脱皮のように、パリパリとガラス膜が剥がれていく らしいのです。
全面が一気に剥がれてくれるのならいいですが、一部だけがパリッと剥がれた状態になっているフレームは逆に汚れているように見えますし、何よりダサいです。
しかし、ガラス系コーティング剤であるWAKO'sはガラス膜がしっかりできる訳ではないので、パリパリと剥がれていく というよりは、擦れたところのコーティング塗装がなくなっていく という剥がれ方に近いです。
これなら遠目から見た限りでは気づかれませんし、ダサさも軽減できます。
塗装の準備をしよう
という訳で、今回私はWAKO'S バリアスコート(VAC)をチョイスいたしました。
缶そのもので売られているのではなく、化粧箱に入っていました。近所の自転車屋さんでほぼ定価通りの3300円ほどで購入。
ちなみにAmazonなら2000円代で売っていることが多いです。
(私も本来はAmazonで注文する予定でしたが、GRAILの到着が事前の予想より1,2週間も早かったため、到着した直後に急いでお店に買いに走りました。)
中身はこんな感じで、マイクロファイバータオル x2 が付属してきます。
このタオル、吸水性がスペシャルです。100均のマイクロファイバータオルと同じ感覚で水道水につけたところ、タオルを掴んでいた両手が一気にドドッと重くなり普通にびっくりしてしまいました。
塗装の前に:まずは洗浄から
さて塗装を始める前に、まずはフレームを一度このタオルで水拭きします。
そしてしっかりと乾拭きをして水分を吸い取ります。
この作業を行わないと、塗装の下地にホコリや水垢が入って取れなくなってしまいます。
ちなみに
今回は箱から出した直後で油汚れがついていないため、簡単な水拭きだけで良いのですが、
次回以降の塗装時には水拭きでは取れない
・手から付いた油
・チェーンオイルの跳ね
・ドリンクのこぼし跡
まで落としてから塗装しなければなりません。
この時には界面活性剤を使って泡で汚れを落としましょう。洗剤をつけずに無理にこするとフレームにも傷が付いてしまいます。
そのとき登場するのがコレ。
WAKO's フォーミングマルチクリーナーです。
またしてもワコーズです。この洗浄剤はフレームからチェーン、クランク、サドルやバーテープにまでなんにでも使うことができます。
ロードレースのプロチームのメカニックもこれを使っているほど信頼度の高い商品です。
シールを剥がす
さて、今回は簡単に洗浄が終わりました。
次に、剥がしたいシールがないかを確認します。
塗装が終わってしまってからシールを剥がすと、剥がしたところだけ塗装されてない状態がむき出しになってしまうので、事前に剥がしておく必要があります。
何と言ってもこのシールです。ホバーバーの上ハンドルの「FLEX AREAに荷物を置くな!」という注意書きです。
とても目立ちますので剥がしてしまいたいです。
その下側を見ると、ホバーバーの下ハンドルにはケーブルとの接触防止用透明シールが貼ってありました。
これはハンドルの表面が傷ついてしまわないための保護シールなので、つけたままにしておきます。CANYONの工場発送時から貼ってくれているのは嬉しいポイントですね。
フレームの各部も確認しましたが、現時点で剥がしたくなるシールは他にありませんでしたのでこのオレンジのシールだけを剥がしていきます。
そもそもこのシール、綺麗に剥がせるのでしょうか?
ビリビリに破けて接着跡が残るようでは最悪なので、一応100均の除光液(シール剥がしやマニキュア落とし)も用意します。
まずは何も付けずに、爪で角を引っ張ってみます。
あれ、力は要るけど、割と綺麗に剥がれそう。除光液の出番はなさそうです。
ちょっと時間をかけて丁寧に引っ張るとうまく剥がれてくれました。
剥がれました。接着面も綺麗なので、軽く水拭きして終了です。
バリアスコートで塗装していく
さて、ようやく塗装に移ります。
このバリアスコートは
・フレームにスプレーして、タオルで拭いて伸ばす
または
・タオルにスプレーして、フレームをこすって伸ばす
の2つ塗装方法があります。
前者はよりスピーディーに広い範囲を塗り終えることができるので、塗装表面積の大きなクルマやオートバイの塗装をするのに向いています。
しかし、フレームの表面に直接スプレーする関係上、塗りムラができやすいというデメリットがあります。
後者は塗るスピードは落ちますが、塗りムラは軽減することができます。
今回はロードバイクのフレームという比較的小さな面積に塗るだけなので、より失敗の少ない後者の方法で塗装することにしました。
タオルに塗料を吹き付けます。
(↓ここからは画面の輝度が低いと違いがわかりにくいかと思います。)
まずは塗装前のトップチューブ。
がっつりマット感のあるスベスベ塗装です。
こちらが塗装直後のトップチューブです。
テッカテカです。「あれ・・・マット感が消えてしまった・・・。」と少し不安になります。
とはいえ、塗装は乾燥させてからが本番です。このままではただ表面が濡れているだけの状態なので、塗装がフレームに定着するまで待たなければなりません。
フレームに触らないようにして、風通しの良いところで放置します。
そしてこれが一晩放置した後のトップチューブです。
元のマットな塗装に戻りました。
というより、元の色との違いが肉眼ではほとんどわかりません。
本当に塗装できてるのか?と不安になるレベルです。
しかしよ〜〜〜〜〜〜く観察してみると、黒い色に深みが出てきたような気がします。
言い換えると、全体的にほんの少し色が濃くなったと思います。
とはいえ、かなり誤差の範疇です。塗装前後の写真をどちらか1枚だけ見せられてもどちらなのかは絶対に分かりません。
ダウンチューブでも比較してみます。これが塗装前。
こちらが塗装後。
やはり全然分かりません。その時々の写真映りの違いが与える色味の違いの方が、はるかに大きいです。
AQUADROPのガラスコーティングをもし使っていたら、絶対に違いがわかるくらいにマット感が減ってしまっていただろうと思いますので、とりあえず今回はこのような結果になってWAKO'sを選んで正解だったと言えます。
そして、塗装が終わった後でもスプレー缶の重量はあまり変わっていないようです。
今回で使い切るつもりで無駄遣いと言えるほどバンバン大量に塗料を使ったつもりですが、あと4,5回は塗装できるだけの量が残っていそうです。
AQUADROPは2回ほどで使い切ってしまったという記事も見ましたので、WAKO'sの方が容量も大きく、より経済的なことが分かりました。
コーティングの効果はいかほど
コーティングの効果は実際あったのか?ということについて検証します。
実際にコーティング前のものとコーティング後のものの両方を同様に汚して、その汚れの落ちやすさを比較してみます。
しかし、コーティングを成功させるために
コーティング前にGRAILを触ったり、汚れをつけたりすることはできる限りしたくありませんでした。
ですので、今回は塗装前のGRAILに汚れをつける という検証は行っておりません。
しかし塗装後の検証結果だけ載せてもあまり意味がないのも事実です。
そこで、今回は私の所持する他のマット塗装なグラベルロードに登場してもらいます。
SPECIALIZEDのDIVERGEです。 年式は2016で、現行の「フューチャー・ショック」(ステムのサスペンション)が採用される1年前のフレームです。
フューチャーショックの代わりに「zelts(ゼルツ)」という振動吸収機構がフロントフォークとシートステイに組み込まれています。
このDIVERGEのマットブラックはGRAILのマットブラックと似たカラーをしていたため、今回の比較に使用します。
とは言え同じマットブラックといえど、塗装した会社が違うので当然根本的な塗装方法も異なり、元々の発色や表面の質感は完全に同一とは言えません。
ですので、擬似的な比較程度にしかなりませんが、しないよりはしたほうがマシだと思いましたので、検証してみることにいたしました。
まずはDIVERGEで比較してみよう
DIVERGEにはコート塗装は一切しておりません。
トップチューブに白いグリスを指で塗ってみました。
(光が反射して白く光ってしまっている部分があるのは、そこだけマット塗装が剥がれてしまっているからです。)
(バイクパッキングとしてトップチューブバッグをずっと取り付けていたところ、バッグとフレームが擦れている状態が長い間続き、マット塗装の下のグロス塗装が出てきてしまいました。)
マイクロファイバータオルでサッと一拭きして、グリスが落ちるかどうか見てみます。
拭いたあとの写真がコチラ。
お分かりでしょうか?
下の部分に光の反射が写り込んでしまっており大変見辛いのですが、グリスの塗ってあったところのテカりが残っていることが見て取れます。
何回か拭いてみると、だんだんとテカりは消えていきましたが、それはフレーム表面に薄く塗り広げられていったというのが正しい表現で、タオルで全てを拭き取れたわけではありませんでした。
お次にGRAIL(コーティング済)で汚れ落ちを検証する
同様に、白いグリスをトップチューブに塗ってみました。
一回サッと拭いてみます。はたして・・・
拭き取ったあとがコチラです。
完全にまっさらな黒色です。グリスのテカリは全てタオルに拭き取られてしまいました。コーティングとして成功です。
無事にバリアスコートの性能を確かめることができました。これなら手からついた油もサッと一拭きで落ちてくれるでしょう。
ドリンクのこぼし跡がどうなるかも気になるので、水でも効果を確認してみます。
水滴を垂らしてみました。
通常マットな表面だと、滴下した水滴は水たまりのように広がっていってしまうのですが、このように一滴一滴が粒の形をしたまま乗っています。
そして少し横から風を吹いてあげると、
ツルンと水は落ちていきました。
フレームに水分が残らないため、放置しても水あかができません。
ドリンクは乾くと白い水垢になるので厄介ですが、そもそも水分がフレームから滑り落ちてしまうので問題ありません。
おわりに
結果として、今回のGRAILのコーティングは成功しました。
あとは今後、どのくらいの頻度で再びコーティングし直さなければならないのかを検証していきたいと思います。
また、雨や雪の日に走行して、泥がしっかりと落ちてくれるかどうかも検証してみたいです。
今日はここまでです。
それでは記事をここまで読んでくださった全ての皆さんに、
ありがとうございます。またお会いしましょう!
(追記:8ヶ月後にコーティングの成果を確認した記事がこちらです。)