CANYON GRAILに100km+180km乗ってみてのインプレ/レビューをまとめています。
後編の今回はTLRタイヤや中華パワーメーターを実際に使ってみてのレビューがメインです。
それぞれ現時点でなかなかネット上に情報が転がっていない新しめの製品なので、気になっている方は当記事をぜひご覧ください。
はじめに
皆さまおはようございます。
今回は、前編に引き続きGRAILの実走インプレをまとめていきます。
・チューブレスレディタイヤ WTB exposure 30
・中華パワーメーター XCADEY X-POWER
・大バッテリーGPSサイコン LEZYNE MEGA XL GPS
これらの当ブログで紹介してきた製品のレビューをメインにしていきます。
WTB exposure 30 (TLEタイヤ) 実走レビュー
しばらく乗ってみての感想
前述の記事で触れたように、
・エアボリュームが多く、乗り心地がとてもよい という感想は、数百km走っても継続しています。
自転車の乗り味を決める要因にも
・フレームの素材 (カーボン, アルミ, クロモリ, チタン etc)
・フレームのジオメトリ
・各種機構 (ホバーバー, サスペンション, 振動吸収機構 etc)
・ホイールのしなり
など様々ありますが、私のような鈍感な人間にとっては
・タイヤの性質 (太さ,転がり)
・タイヤの空気圧
の影響が大きな割合を占めているように感じます。
一般的に硬いと呼ばれているフレームでも、タイヤの選択次第では柔らかな乗り味を作り出すことができます。逆もまた然りです。
それだけ自転車の乗り味におけるタイヤが占める効果は大きいと思います。
さて、これらの観点からexposure 30に関して細かくレビューしていきましょう。
30Cという太さ
一般的なエンデュランスロードのタイヤ幅28Cよりもやや太いため、振動吸収力はかなり高いです。
道路の細かい振動から、車道と歩道の段差のような大きな衝撃も受け止めてくれる安心感があります。
平坦なアスファルトの表面の微妙な凹凸を心地よく吸収してくれていることを、ハンドルを掴む手・サドルに乗せている尻から実感することができます。 舗装路を走っていて、とても気持ちがいいです。
一方で接地面はそこまで28Cと変わらないため、巡航速度もあまり変わったようには感じません。
舗装路を走るうえでは完成車付属のG-ONE BITE (40C ブロックタイヤ)よりはるかに快適にスピードを出すことができました。
チューブレスとしての特性
チューブを入れずに、ただタイヤとホイールの間に空気が入っている状態なので
・高い段差から着地してもリム打ちパンクの可能性がない
という状態は精神的にとても楽です。
また、リム打ちの危険がないため空気圧を結構下げても大丈夫というのも面白いです。
普段は5 barで運用していますが、少し空気を減らして4 barほどにするとグリップ力が格段に上がり、ダートの上でも安定した走りができるようになります。
<余談>
ちなみに速く走るためには空気圧をひたすら上げればいい!という訳ではないようです。
最大気圧である 6.5 bar で乗ってみたところ、細かな段差での跳ねによるエネルギーロス (最近はやりのインピーダンス損失というやつです。)が起こってしまい、路面に追従して走る5 bar程度が一番速く走れていることに気がつきました。
(余談ここまで)
次に転がり抵抗についての感触を振り返ります。
チューブレスは転がり抵抗がいいという触れ込みで、私も最初は確かにそのような感触を得ていたのですが、乗っていくうちに、正直 私の感覚ではそこまでの違いはよくわからないことに気がつきました。
確かに30Cの太さにしてはよく進んでいるようにも感じますが、ホイールの性能・タイヤのエアボリュームの多さの影響力がかなり大きいので、転がり抵抗の影響は感じ取れていない状態です。色々乗り比べている人ならわかるのでしょうか。
そもそもこのWTB exposureというTLRタイヤは、スリックとはいえ一応グラベル向けのタイヤシリーズなので、タイヤ表面にはヤスリのようなトレッドがうっすら入っています。
そのためレース向けのチューブレスモデルと比べては転がり抵抗は大きいはずだと思います。
エア抜けに関して (シーラント塗布のコツ)
以前は一晩で フロント: 1bar リア: 3bar ほどのエア抜けが起きておりました。
しかし前回の記事のコメント欄でアドバイスをいただき、加えて自分なりにも色々対処法を考えて、それらを実行することで 前後 0.5 bar 以下 のエア抜けに抑えることができるようになりました。
ビード上げの際に、以前のやり方では
①ビード上げ (シーラント使用)
②シーラント (のこり)を入れる
③空気圧を最大まで入れる
④ホイールを空転させて、シーラントを全体に塗布する
というようにやっておりましたが、この③と④を入れ替えることでエア抜けを減少させることができました。
空気圧が低い②までの段階では、まだタイヤとホイールの間に結構な隙間ができています。 この状況でシーラントを行き渡らせることで、隙間にシーラントが流れ込むことができ、空気を入れた後もエア抜けしないように密封状態を作り出すことができます。
逆に元のやり方のように空気を最大まで入れた状態でシーラントを塗布したところで、タイヤとホイールの間にシーラントの侵入するスキマがないため、小さなエア抜け箇所を埋めることができなかったのだと推測されます。
また加えて、シーラントを行き渡らせる方法ですが、以前のようにホイールを垂直に空転させるのではなく、アドバイスをいただいた通りに 斜め45°に倒してホイールをゆっくり回したり、
水平にして、表裏を裏返しながら隙間にシーラントを埋めていきます。
この方法により、エア抜けを前述のように0.5bar/一晩までに抑えることができました。
今までのようにホイールをただ空転させただけではリムとビードの間にシーラントはなかなか入っていきませんし、高速空転させたところでシーラントは遠心力でタイヤの中心に溜まっていくだけだったのでしょう。
未検証なこと
なお未だパンクはしたことがないので、シーラントの効力に関しては未知数です。
また、このWTB exposure 30は「タイヤの消耗が早く、2000kmも走るとトレッドが平坦になる」という海外レビューもあり、この消耗具合に関してもこれから検証していこうと思います。(現在 500km程度の消耗は軽微)
(追記: 2019/04/08)
上記のような作業でエア抜けが解決した!と思っていたのですが、実はまだこれでもエア抜けは起こってしまいました。
その理由と解決方法について以下の記事でまとめています。
(追記ここまで)
XCADEY X-POWER 実走レビュー
購入したときに私は「3万円の中華パワメーターなんてそもそもデータ取れてるのか?」という疑問を持っていましたが実際に使ってみて、これまたしっかりと働いてくれていることを確認しています。
プラス評価なところ
データ測定
パワー値のリアルタイムデータをサイコン上に表示でき、また終了後にSTRAVAにアップロードできています。これさえ問題なく作動していればパワーメーターとしては十分です。
欲を言えばベクトル表示やペダリング効率が欲しいところですが、10万のパワーモニターと同じことを求めるのは筋違いですね。
とりあえず100kmポタリングした時のデータは、以下のようにバッチリ取れています。
(my STRAVAのデータより抜粋)
このままだと波形が細かすぎてよくわからないので、拡大して見てみます。
市街地を走行している時のログを拡大してみました。
信号で足をつくごとにパワー値が0wになっていることがわかります。(速度0では測定ストップになるようにサイコン側で設定しています。)
GRAILにセンサー類はXCADEY以外取り付けていないので、このケイデンスもXCADEYが測定してくれているものです。(スピード測定はGPS)
郊外に出て、信号の無いエリアのデータがこちらです。
波形がなだらかになり、途中で通信切れ等も起こっていないことがわかります。
連続したデータが問題なく取れていますし、ライド後に確認するデータとして申し分ないです。パワーの推移を確認して、自身の走力を把握することができました。
今まではライド後には走行距離とスピード程度しか分からず、特にデータの考察をすることができなかったのでXCADEYを買ってよかったな、と思いました。
電池の蓋 (防水性)
「電池蓋がよく取れて落ちる」という他の方のレビューが多く、私も心配していた点でしたが、幸い今のところ蓋が勝手に外れたことはありません。
蓋の裏は、赤いゴムリングで抑えることで水が入ってこないようになっていますが、
完全防水のようにはあまり見えませんが、大雨の日の走行を経ても特に問題なく作動しています。
浸水等はなしです。ただし、蓋の締め込みが浅いとアウトな気がします。
しっかり奥までしまっているか確認してから走り出さなくてはいけませんね。
校正の精度
上のデータ画像をみてわかるように、気温が変動しても測定値に大きな変動はありません。朝に1回キャリブレーションをしてしまえば、あとはそのまま乗り続けても自然に補正してくれているようです。
数値の絶対値を見ても、漕いでいるときに「まあこんなもんかな」と思える数値が表示されているので、安物のパワーメーターだからと言って、そこまで適当な数値を出しているわけではなさそうです。
マイナス評価なところ
とはいえやはり不満点もいくらかあります。
ここが面倒:バッテリー残量の表示がよくわからない挙動をする
XCADEYはボタン電池のR2032で動いています。そしてこの電池残量はX-POWERの校正アプリで確認することができるのですが、
電池交換から10分も経たずになぜか100% → 30%になります。
しかし今度はその30%からなかなか減りません。 10時間くらい走行して5%くらい減る程度です。
ですので、30%と表示されていても実際は100%なのではないかと思われます。しかも電池を変えるとこの30%が50%だったりもします。
どういう訳かはわかりませんが、おそらく市販のR2032の新品電池容量が、X-POWERに設定されている最大電池容量の30〜50%ほどの数値になっているのだと推測しました。
ですので、私はバッテリー数値に頭の中で2〜3倍を掛け算して運用しています。
慣れれば問題はないですが、やはりちょっと面倒なことは面倒です。個体差なのか旧モデルだからなのかはわかりませんが、現行の新モデルではここが修正されていればいいなと思います。
ここが面倒:しばらく放置すると接続が切れる
例えばコンビニ休憩で10分ほどペダルを漕がなくなると、XCADEYの電源がOFFになってしまうのかサイコンとの接続が切れてしまいます。
(↑ケイデンスとパワーの表示が、センサー検索中の表示に戻ってしまう)
こうなると、再度 ①XCADEYの電池蓋を開け閉めして電源ON → ②サイコン側で接続 という再接続作業をしなくてはなりません。
走り出したら勝手に接続されるPioneerのパワーメーターなどと比べると、この手間はかなり煩わしいです。
(追記:2019/10/07)
どうやらXCADEYもBluetoothではなくANT+で接続すれば、クランクを回すだけで再起動がかかりやすいことを発見しました。
ただし、10分ほどで一度電源が切れるのは同様です。
(追記ここまで)
片側計測ゆえのデータのふらつき
これはXCADEYに限らず片側クランク式のパワーメーター全般に言えることなのですが、ペダルを一回転させるたびに、周期的なパワー計測値のふらつきが起こってしまう
というデメリットがあります。
両足計測なら左右のパワー値を平均して表示してくれるので「250W → 250W → 250W → 250W」のように安定したデータが取れるのですが、
片足計測だと、センサー側のペダルが下死点を越えたときのパワーがどうしても小さく表示されてしまうため、「250W → 230W → 250W →230W」のように左右のパワー差によって、クランクを回すごとに上下にふらついたデータが発生してしまいます。
この症状では走行中のサイコンの表示も変動して見辛いですし、あとでデータ化してSTRAVAで確認するときも細かい波形が出てきてしまいます。
しかし片側クランクタイプである以上、このふらつきは仕方のないことなので、走行中は頭の中で平均値を補正してやる必要がありそうです。
(追記:2019/10/07)
サイコン側のパワー値表示を、「1秒ごとに表示」から「3秒パワー」に変更することでこの表示のふらつきを抑えることができることに気がつきました。
平均されたパワー値が表示されるので、片側クランク式でありながら安定したデータを見ることができるようになります。
LEZYNE MEGA XL GPS レビュー
もともとこの記事は「100km走ってみての感想」というテーマで書いていたのですが、ここまでまとめている段階で加えて 180km 、つまり合計280km走ってきたのでその感想も追記してみます。
昨日の早朝〜昼の13時過ぎにかけて、山地のとあるダム湖までの180kmを走ってきました。
側面に残雪はあるものの、道は快走路でした。
標高300mを超えると雪の壁も厚くなっていました。
さて、今回活躍したのが LEZYNE MEGA XL GPSのナビゲーション機能です。
このMEGAシリーズ以前ではただの線と矢印だけの簡素なマップで正直使い物にならないナビでしたが、
この機種からは 完全な地図 + ナビの矢印を表示することができるようになりました。
しかも分岐付近に近づくと、アラーム音とともに画面表示が切り替わり、残りの距離と分岐する道の名前も表示してくれます。
大きくカーブする場所では、分岐点ではなくても同様にお知らせしてくれます。
Garminの520Jや820J, 1030Jを使っている方々にとっては何を今更という話だと思いますが、
・2万円という破格の値段
・ナビ常時使用でも安心できる最大48時間のバッテリー
はこのMEGA XL GPSだけの優位点です。
大きな画面サイズで上記のような詳細なマップが表示でき、ファームウェアアップデートも頻繁に更新されるので、初心者が最初に手を出すGPSサイコンとしてはお勧めできる製品だと思います。
GPSサイコンのデメリット
トンネル内は速度計測できない
GPSサイコンなら当然といえば当然ですが、衛星から信号を受信できないトンネル内ではスピードを測定することができません。
しかし、STRAVAのデータではトンネル内を通過するのに掛かった時間から擬似的に算出した速度が表示されるので、
(↑の直線部分)
そこまで気にするようなことではないと思います。
どうしても測定したい人は、別途にスピードセンサーを取り付ければ解決できます。
レザインのサイコンは、それなりにバグが多い
ナビゲーション機能を使用すると変なバグのようなものがいくつか発生しました。
・パワーメーターを認識できているのに、ペアリングができない
→ 一度電源を切って、パワーメーターのペアリング→ナビの開始 をすると復活した。
・斜度の表示がありえない数値 (12531%, -4800.5%など)になる
→電源を切るまで直らず。しかしSTRAVAにアップロードしたログからは異常な数値は消去されていたため、データに問題はなし
これらの原因はよくわかりませんが、幸いLEZYNEのGPSサイコンはGarminのように定期的にソフトウェア・アップデートされるので、こういったバグはそのうち修正され安心して使いつづけることができます。
おわりに
180km走り終わった後のGRAILです。
グラベルを走ったわけでもないのに泥まみれです。
こうして見ると、ある程度汚れている方がグラベルロードらしいかもしれませんね。
フレームの色と乾いた泥の色が結構マッチしていてちょっとカッコいいです。
洗車し終わったら、またWAKO'Sのバリアスコートでフレームのコーティングをしてみようと思います。
バリアスコートを掛けたことによる汚れ落ちへの影響に関しても、また後日記事にまとめてみようと思います。
さて、今回は100km + 180kmを走ってみての簡単なインプレの記事でした。
この2つのライドはどちらも低負荷でゆったりとしたポタリングだったので、そのうちパワーをしっかりかけたヒルクライムのデータを色々とってみたいと考えています。
それでは当記事をここまで読んでくださった全ての皆さんに、
ありがとうございます!またお会いしましょう!
(おかげさまで読者数が80人を突破いたしました。いつもご愛読ありがとうございます。)
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