軽量チューブやラテックス、ポリウレタンなど様々な種類があるロードバイクのチューブ。チューブレス化したからと言って、予備チューブとはなかなか関係を切ることができません。ライド中はバッグに入れて運搬することになるため、可能な限り軽くて小さな予備チューブを選ぶ必要があり、その選び方についてまとめています。
- はじめに
- チューブレス化の結果、予備チューブが2本に増えた
- 予備チューブの収納スペースが大きすぎる!
- チューブレスタイヤとパンクのリスクについて
- 解決策:予備チューブは出来るだけ小さなものに変更しよう!
- チューブレス用の予備チューブとして選ぶなら?
- ブリヂストン EXTENZA 軽量チューブ レビュー
- おわりに
はじめに
みなさまおはようございます。
今回は、ロードバイクで遠出するときにはいつも携帯しておきたい予備チューブのお話です。
チューブレス化の結果、予備チューブが2本に増えた
以前の記事でお話ししたように、GRAILのタイヤをWTB exposure 30というチューブレスレディタイヤに変更したことによって、ロングライドをするときにはチューブを常に2本携帯していなくてはならなくなりました。
(理由については該当記事をご参照ください。)
そして、私がこの2本の予備チューブをどこに収納しているのかと言いますと、
このようにラップで包んだ状態で100円ショップのカメラケースに入れ、自作フレームバッグの奥に忍ばせております。
予備チューブの収納スペースが大きすぎる!
こうして収納された予備チューブたちですが、私としては少々不満があります。
それは、使うかわからないものなのに、フレームバッグ内でかなりのスペースを占有してしまうということです。
経験上、パンクというものは滅多に起こりません。ですので基本的にこれら予備チューブはライド中はただのお荷物です。
かといって、万が一パンクが起こった際に予備チューブを持ってきていないと大変なことになるのはいうまでもありません。
「ないと困るけど、普段は要らない」
そんな予備チューブ問題はどうすれば良いのでしょうか?
チューブレスタイヤとパンクのリスクについて
そもそもチューブレスタイヤはクリンチャーと比べて、パンクしづらいと言われています。
それはタイヤ内にチューブが存在しないので、リム打ちパンクというものが概念的に存在しないからです。
さらに、チューブレスレディタイヤの場合に用いられるシーラントは固まることによって穴を補修してくれる効果があります。
このシーラントの作用によって、例えば小さなクギによって空いてしまった穴程度であれば数分もしないうちに塞がり、再度走り出すことができるようになります。
(余談) チューブレスはまだまだ未熟
例外的に、「劣悪な悪路を、高速に、低圧で走行した場合」に限って言えば、チューブレスタイヤ特有のパンクが起こる可能性があります。
それはビードの隙間からの空気漏れという現象です。
記憶に新しいところでは、2019年のパリ~ルーベでチューブレスタイヤを使用したチームUAEのアレクサンドル・クリストフがレース中になんと3度もパンクし、メディアでも大きく取り上げられました。
このパンクのせいでクリストフは56位という残念な結果に。本人もレース後に「(ルーベでは)チューブレスはもう使わない」という趣旨のコメントを残しています。
Cobbles, dust and drama. This is #ParisRoubaix 🇫🇷.#UAETeamEmirates #RideTogether #YearOfTolerance #MondayMotivation
— @UAE-TeamEmirates (@TeamUAEAbuDhabi) April 15, 2019
📸: @bettiniphoto |@PhotoFizza pic.twitter.com/GyivxkKTPe
それでは、彼が使っていた VittoriaのCorsa Grapheneというタイヤが、「簡単に穴が空いてしまうダメダメなタイヤだったのだろう」とお考えになる方もいらっしゃると思いますが、このパンクには他の原因があったように思われます。
それはホイールとの相性、さらに詳しくいうならば、ハードな運用時におけるビード外れという問題です。
つまり、クリストフのタイヤは路面に落ちていた突起物が刺さってパンクしたのではなく、パヴェ(石畳)を高速で走行する際の衝撃でホイールのリムからタイヤのビードが外れ、そこから空気漏れを起こしたのではないかと推測します。
これこそがハード・コンディションにおけるチューブレスタイヤの弱点であり、クリストフがチューブレスというタイヤシステムそのものに失望した原因なのです。
幸い私はこのビード外れによるパンクを経験したことはありませんが、同じ仕組みによって起こる「チューブレスタイヤの空気漏れ」には長い間悩まされてきました。
(この問題は、ある方法の発見により現在ではほぼ解決しています。それに関しての記事も近日公開いたします。)
この隙間が生まれてしまうのは、タイヤとリムが別々の会社で製造されていることに起因します。
実際に、チューブレスレディタイヤとチューブレスレディ用ホイールの両方を同時に製造しているGIANT社の組み合わせでは、前述のような空気漏れはほとんど発生しないという噂です。
「チューブレスはパンクしにくい」というメリットの裏に隠れた、この「リムとビードの問題」の解決のためにも、今後のタイヤメーカーとリムメーカー間の協調開発を期待します。
(余談ここまで)
解決策:予備チューブは出来るだけ小さなものに変更しよう!
話は逸れましたが、「フレームバッグ内で予備チューブがかさばる問題」を解決していきます。
その方法とは、もっと小さなチューブを買うというシンプルなものです。
チューブにこだわりのないかたなら「チューブなんて、タイヤのサイズが一緒ならどれを買っても同じでしょ?」と思われてもおかしくありませんが、実はチューブの世界は想像以上に深い沼となっているのです。
それでは、簡単にチューブの種類を紹介して、今回の目的に合ったチューブを見つけていきましょう。
1. 普通のチューブ (安価)
エントリー〜ミドルグレードのロードバイク完成車には大体このタイプのチューブが元から入っています。
完成車を購入してから1回もチューブ交換したことないよ!という場合、おそらくこの普通のチューブが入っています。
相場としては1本 500円~1000円となっております。 重量はおよそ120 g〜200 gです。
2. 軽量チューブ
名前の通り、軽さに特化したチューブです。
軽さを競うようにチューブメーカー各社から販売されており、性能もまちまちです。(50 g〜70 g)
値段にも振れ幅があり、1000円以内で購入できるものから、3000円以上するものまであります。
メリットは、ホイール外周部の軽量化による漕ぎ出しの反応性アップ・ヒルクライムの適正向上です。
逆にデメリットは、ブチルゴム層が薄いので必然的に耐パンク性能が下がります。
3. ラテックスチューブ
今までのチューブがブチルゴムを原料とする合成ブチルチューブだったのに対し、このラテックスチューブは手術用手袋にも用いられる天然ラテックスが使われています。
「買ったロードバイクの性能を良くしたかったら、まずはチューブをラテックスに変えろ」とおっしゃる人がいるほど、自転車のグレードアップとしてはメジャーなアイテムです。
ラテックスはブチルゴムと比べて弾性が高いため、転がり抵抗が少なく、乗り心地が良くなると言われています。
しかもラテックスチューブは軽量です。重量は各社 50g 〜70 g程度です。
一方で、「空気の抜けが早い」「光や熱による劣化が早い」という弱点も併せ持ちます。この特性から、泊まりがけのツーリングには向かないでしょう。
4. ポリウレタンチューブ
チューブレスの波に押されがちなクリンチャー業界における期待の新星が、このポリウレタンチューブです。
Tubolito と REVOLOOPの2社から販売されているこのポリウレタンチューブは、なんと30 g台!
そしてこれらの素材は耐パンク性能が抜群に高いです。まさに次世代チューブ。
デメリットはただ一つ。値段です。1本でなんと5000円。つまり前後で1万円です。
チューブレス用の予備チューブとして選ぶなら?
さて、この4種類のチューブからどれを選べば良いのでしょうか?
ちなみに、GRAILの完成車にはシュワルベのEXtralightという軽量チューブが付属していました。
このチューブは、確か単品販売にラインナップされていなかったと記憶しています。
重量は111 gです。
重くはない・・・重くはないのですが、軽量チューブとしては今ひとつです。重量に比例して、体積もそこそこ大きいのです。
よって、
・(111 gよりも軽い) 軽量チューブ
・ラテックスチューブ
・ポリウレタンチューブ
のなかから選んでいくことになります。
まず、性能から考えるとポリウレタンチューブが最良の選択肢でしょう。重量も収納サイズもこの中ではぶっちぎりの小ささです。
しかし、もしかすると1回も使わないかもしれないものに1万円という金額を支払うことには非常に勇気がいります。
下手をすれば何年間も出番がなく、使う前にチューブの劣化によって廃棄、という可能性も大いに有り得ます。お守りの金額にしては1万円は高すぎます。
そこで次に選ばれるのはラテックスチューブです。パンク時の緊急用であるので、デメリットである空気抜けもさほど気になりません。GRAILはディスクブレーキ車であるのでリムの発熱もなく、熱に弱いというデメリットも無関係です。
しかし問題は、30Cという幅広なタイヤサイズに対応したラテックスチューブが入手困難ということです。
大手であるSOYOやミシュラン、Vittoriaのラテックスチューブは23C、あるいは28Cまでのタイヤにしか対応していません。
唯一、昨年の冬に復活したボントレガーのグラベル向けラテックスが30Cまで対応していますが、1本 3000円という強気の金額の上、流通量が少ないためなかなか手に入れられません。
よって残った最後の手段、軽量チューブを探していくことになります。
ブリヂストン EXTENZA 軽量チューブ レビュー
こうして今回選ばれたのは、BRIDGESTONE CYCLEから販売されている「エクステンザ」という軽量チューブです。
重量とサイズは軽量チューブとしては平均的で、もっと軽くて小さな軽量チューブも普通にあります。
それでもこのエクステンザを選んだのは、
・1本 952円という安さ
・Amazon primeで購入できる
という2点によるものです。この値段なら、数年間使わずに劣化したとしても躊躇なくゴミ箱に捨てることができます。
このエクステンザには「67g〜の軽量モデル」と「52g〜の最軽量モデル」の2種類あります。
残念ながら最軽量モデルには30C対応のものがなかったので、必然的に軽量モデルの一択になります。
箱の裏の説明によると、対応タイヤ幅は25C-32C。バルブ長は48 mmと60 mmから選択できますが、GRAILのホイールはディスク用でミドルハイトなリムのため、60mmのバルブでないと長さが足りません。
箱から本体を取り出しました。明らかに今までのものより2まわり小型です。
GRAIL完成車のExtralightと、今回のExtenzaを横に並べて比較してみました。
左から、広げたExtralight、ラップで包んだExtralight、右がエクステンザです。縦幅が小さくなりました。
重ねてもかなりコンパクト。
それでは気になる重量測定です。
75 gでした。重量としては36 gの軽量化です。
つまり、単純に考えて30%のサイズダウンに成功したことになります。
さらにラップを巻いてサイズのさらなるコンパクト化 & 劣化防止 に取り組みました。
今までのサイズでは、カメラケースは2本のチューブでいっぱいいっぱいになっていましたが、
今回購入したEXTENZAに入れ替えてみます。
予想通り、バッグは片側がスカスカになりました。
この空いた空間に工具等を仕込んでおけば、さらなる省スペースに貢献できますね。
おわりに
今回は、チューブレスタイヤ用の予備チューブを新たに購入いたしました。
目的通り、フレームバッグ内の省スペース化には大きく貢献できたと思います。
もし財力に余裕があれば、今度はポリウレタンチューブにも手を出してみたいと密かに思っております。
もしおすすめの軽量チューブなどありましたら、下の方にあるコメント欄で教えてくださると大変嬉しいです。
それでは当ブログに興味をもち、記事をここまで読んでくださった全ての皆さんに、
ありがとうございます!またお会いしましょう!
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