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低重心と高重心、自転車はどちらが安定なのか? 個人的考察をご紹介! 編【小ネタ】【バイクパッキング】

右前からのGRAIL

バイクパッキングにおいて、「低重心ほど安定性が高い」という従来の考えは通用するのか?ということについて、真逆の意見を交えて個人的に考えます。

このトピックに関してネットで色々調べてみましたが他には特に情報が見つからなかったので、これは結構な独自性のある記事にできているのではと思います。

 

はじめに

 

皆さまおはようございます。 

先日の記事でGRAILのジオメトリについて色々書いていたところ、Twitterのフォロワーの方から興味深いお話をいただきました。

 

先日の記事では「自転車は低重心の方が安定する」という前提で話を進めていたのですが、「自転車は高重心の方が安定する」という考えがあるとのことでした。

 

これについて、私なりに少し考えてみたことを簡単にまとめてみたのでお付き合いください。

高重心のほうが安定するのはなぜか?

 ことの発端はこちらの

twitter重心トーク

(twitter スクリーンショット)

@r_indub さんからいただいたリプライでした。

 

ツイートされた記事のリンク先を以下に貼っておきます。

http://samson-strada.com/design_skill/stability/   (外部リンク)

日本でフレームを製造していらっしゃる方のHPのようです。

 

発端の記事の要約

 

HPの内容を一読して、驚きとともに納得させられました。

リンク先の記事の内容を私なりに簡単にまとめると、

手のひらの上に棒を立てる遊びでは、棒の長さが長ければ長いほど簡単にバランスを取ることができる

・ただの棒ではなく、棒の先に重りのついたもの(ex: 箒)ならばもっと安定する。

 

→これは高重心の棒の方が倒れる速度が遅いので、完全に倒れる前に人間がバランスを取り直すことができる。

 

→→自転車はバランスが常に変化する2輪の乗り物なので、人間の重心操作が必要。

低重心ではその重心操作の回数が多く必要になるため、安定感は低いと言える。

というようになりました。(私の読み取り方が間違っている可能性もあるので、興味のある方はリンク先の全文へ)

私としても、この方が書いている内容は合っているように思います。

 

私の経験からの感覚

 

しかし一方で、世間一般では「高重心ほど不安定」は半ば常識のように語られておりますし、感覚的にもその方が正しいように思えます。

 

私の経験でもそれが正しいことのように思います。

フルパッキングのDiverge

私はよくDivergeでこのように荷物を積み込んで走行しておりました。

このパッキングでは荷重は基本的にタイヤの側面、つまり人間の身体よりもはるかに下側にかかるため、ズッシリとした安定感をもって走ることができます。

 

なおこのときの荷物の総重量は20 kg~30 kg程度です。

ほぼ同量の荷物をバックパックに背負って自転車に乗った経験もありますが、その場合は上の写真のようなパッキングスタイルと比べて、自転車が振り子のように振られてしまう不安定感を感じました。

 

これは一体なぜなのでしょうか?

前述のサイト様の内容では、高重心なバックパックの方が安定するはずですが、実際の感覚ではそれが異なっています。

 

剛体の力学から考える自転車の安定性

 

メモ帳を開いて私なりに図を描いて考えた内容を軽く紹介したいと思います。

 

偉そうな見出しとなっておりますが、私の古典力学の知識は大学1年の講義止まりですし、そのときもどちらかといえば量子力学ばかり勉強していたため、このような動体の安定性に関する知識はからっきしです。

 

稚拙な内容ですので、もし詳しい方がいらっしゃれば是非ご教授ください。

 

自転車が倒れるワケ:  重心が支持基底を外れるとアウト

 

まず、自転車を1本の棒として考えてみます。自分で描いたイラストをご用意しました。

重心

赤い点が重心です。

この図では中央となっていますが、実際は自転車 + 人間の合成重心となるので少し上になると思います。

 

安定性において考えるべきワードは「支持基底」です。

接地基底

自転車の支持基底面は、前後タイヤの接地面の延長上にあります。

 

下の図のように、重心が支持基底の上にある場合は安定しているといえます。

安定した棒

この傾きの状態では、自転車には元に戻ろうとする力が働きます。

 

しかし、自転車を左右に振って重心が支持基底の幅を越えると、

倒れる棒

今度は倒れる方向に力がかかるため、このままでは倒れてしまいます。

このとき、人間の重心移動によって合成重心の位置を支持基底の上まで移動させる必要があります。

 

荷物を積んだ自転車ではどう変わるのか?

 

さて、次は自転車に荷物を積み込んだ状態を考えます。

パッキングした棒

荷物を上部にパッキングした場合、重心の位置は先ほどよりも上に移動します。

 

該当記事で比較されていた2つの重心状態を図にしてみました。

長さの異なる自転車

左の高重心の自転車の方が、右の低重心の自転車よりも倒れる速さが遅いと記事では紹介されています。

これはモーメントで説明できます。倒れる速度は慣性モーメントの大小によって変化し、慣性モーメントは支持基底から重心までの距離に比例して大きくなるためです。

 

荷物の高さが違うとどうなるか: 倒れやすさが変わる!?

 

該当記事では、上図のように高さそのものが違う自転車を比較(サドルの高さが異なる自転車、大人用自転車と子供用自転車)していましたが、

私が知りたいのは、同じ自転車における荷物の位置による安定性の違いです。

 

これから用いる私の図では自転車の高さは変化させず、荷物を取り付ける位置を上下に動かして比較します。

(とは言え結果に差はあまりないですが)

 

高い位置に荷物を乗せた自転車と、低い位置に荷物を乗せた自転車を傾けてみます。

倒れる棒の比較

このように、高重心となる左側は重心の位置が支持基底から外れてしまうので、走り続けるには人間の操作が必要です。

逆に低重心となる右側は重心の位置が支持基底の端に留まっているため、このまま走り続けることができます。

 

こうして見ると、低重心の方が安定感がありそです。

 

結論: 結局、高重心と低重心のどちらが安定なのか

 

以上から、私なりの考えをまとめます。

 

・高重心の方が、バランスを崩してからのリカバリーが簡単

・低重心の方が、バランスを崩しにくい

 

よって、

 

荷物の全量が多く、重たいときはリカバリーにも多くの力がかかる

  →→そもそもバランスを崩しにくい低重心の方が疲れない。

     →→→低重心の方が安定性が高い

 

荷物が少なく身軽なとき、自転車は力に左右されやすく傾きやすい

  →→バランスが崩れてもすぐに戻せる、高重心の方が疲れない

     →→→高重心の方が安定性が高い

 

ということなのではないかと思います。

あとは自転車の総重量に合わせた両者のバランスなのではないでしょうか。

 

実際の状態を考える: 低重心の方が安定しそうである!

 

しかしここで考えるべきなのは、「人間は自転車よりもはるかに重い荷物である」ということです。

 

ですので、現実の状態では

棒と荷物

このような軽い荷物をパッキングした模式図ではなく、

 

この画像のように

自転車と人間の模式図

大きな荷物が乗っている状態として考えるべきです。

 

こうして考えると、該当記事で用いられていた棒と箒の例えは自転車では適用できないように思えます。

実際に例えるなら、鉄球が先端に付いた棒を立たせるようなもので、この場合はほんの数度の傾きで重心線は支持基底を外れてしまいます。

そしてこの度に人間が重心を修正する必要があるので、これは果たして高重心になるほど安定性が高いと言えるのでしょうか?

 

鉄球のついた棒として考えると、鉄球の他に荷物を追加する場合は

鉄球の上にさらに荷物を追加して、許容角をさらに狭めてしまう

よりは、

鉄球より下に荷物を追加して、許容角を広げる

ほうが、安定性は高く感じられるのではないでしょうか。

 

おわりに

 

結局どちらが正しい!と言い切ることはできませんでしたが、

安定性とはそもそも人間の感覚によるものなので、どちらがよいのかという疑問に対して結局は感覚に任せるべきなのだと思います。

 

物理的に考えると先述のサイトのように高重心の方が安定性が高いということになるのかもしれませんが、

私の感覚では、低重心の方が走りやすく、安定した操舵性をキープすることができています。

「より安定すると自分が感じたやり方を選ぶ」、これが安全のためにも大事なことです。

 

ですので、私はこれからも

・バックパックではなくバイクパッキング

・大型サドルバッグ・トップチューブバッグではなくフレームバッグ

を優先的に選んで使い、低重心となるように荷物を積んでいこうと思っております。

右後ろからのGRAIL

この重心に関するトピックは私自身初めて考えたことであり、知識も不足しており果たして記事として正しいのかもよくわかっていない状況です。

ですので、みなさまのご意見をコメントでいただけたらなと思っております。お気軽にお願いいたします。

 

それでは当ブログに興味をもち、記事をここまで読んでくださった全ての皆さんに、

ありがとうございます!またお会いしましょう!