CANYON GRAIL CF 7.0 完成車についてきたfizikのALIANTE R5というサドルから、SPECIALIZEDのPOWERに代表されるショートノーズ系サドルに交換いたしました。
その経緯や、交換後のレビューについてまとめています。
はじめに
みなさんおはようございます。
今回は我が家のCANYON GRAILのサドルを交換したことについての記事となっております。
なぜ完成車購入から半月足らずでサドルを交換することになったのかについてと、新しいサドルのレビューをメインに話を進めていきます。
(追記:2019/10/20)
このあと結局、半年後にPOWERサドルからPOWER MIMICサドルに変更することにしました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
CANYON GRAILの完成車サドルは2種類ある
私の乗っているCANYONのGRAILには
・GRAIL CF
・GRAIL AL
の2種類の完成車が販売されていることは、以前の記事↓でご紹介しました。
そして、この2種類のバイクにはそれぞれ別のサドルがアッセンブルされています。
アルミフレームのGRAIL AL にはセライタリアのX3 CANYON EDITIONというサドルが付属します。
一方でカーボンフレームのGRAIL CFにはフィジークのアリアンテ R5というサドルがついてきます。
どちらもいわゆる「穴あきサドル」ではなく、ストレートでクラシカルな見た目をしています。
我が家のGRAILはGRAIL CF 7.0なので、ついてきたのはフィジークのアリアンテR5でした。
このサドルに関しては購入前にこの記事↓で軽く語っていましたが、
実際に実物に触れてみて、再度レビューをしてみようと思います。
フィジークのサドル、ALIANTE R5 レビュー
とりあえずアリアンテを外してみました。
サドル面は思ったよりふかふかしていており、振動吸収性に力を入れていることが伺えます。
加えて黒い部分は滑り止めのようにザラザラした素材になっているので、全体的にグラベルロード向けな仕上がりです。
裏面は中心がカーボン模様になっています。なぜか黒色ではなく白色です。
普段は見えないところとはいえ、結構おしゃれですね。
おそらくこれが、CANYONの公式説明で「カーボン強化 Twin Flexシェルにより、軽量でありながら最大限の快適性を確保」と謳っている部分なのではないでしょうか。
反対側からも見てみましょう。
サドル後方にしっかりとした fizikのロゴが。前方にはR5のシールが貼ってあります。
ロゴ付近が独特の形状をしていますが、これはフィジーク特有のサドルとリアライトを一体型にするICSというシステムのための突起です。
(出典:https://cdn.cyclist.sanspo.com/photos/2013/03/fizik-image.jpg)
サドル後方にライトを直接取り付けられるためエアロ的にも有利ですし、何よりスタイリッシュでカッコいいですね!
なぜサドル交換に踏み切ったのか
さて、以前の記事でも軽く触れたのですが、「穴なしサドルは尿道を圧迫する」というデメリットにより、私は穴なしサドルをあまり好みません。
実際にアリアンテに跨ってみて、やはり尿道の圧迫感、より正確に表すと会陰部がずっと押されている感覚が続きます。
(この辺のゾーンが圧迫される感覚。100km走ると痺れも。)
これは構造上仕方のないことなのですが、しかしこの状態で何年も乗り続けると女性であれば股間の痺れ、男性であれば勃起不全や陰茎の麻痺に繋がる恐れがあるので、なるべくこのような圧迫感は避けたいものです。
このような問題の対策として、例えば ISM社ではこんなサドルが販売されています。
ISMのフラグシップ、PN3.0です。
本来サドルと会陰部が当たるはずの部分を切り取り、ノーズを二股にしてしまうという斬新なアイディアです。
選ばれたサドルは、POWERでした。
さて、ロードバイク界隈にはいわゆるサドル沼というものがありますが、そんな沼に陥った方々の多くが最終的に行き着いたサドルとしてぶっちぎりの知名度を誇るのが
SPECIALIZED の POWER です。
いわゆるショートノーズサドルと呼ばれるタイプの形状をしており、
通常のサドルと比べてノーズが3cmほど短くなっています。
同じスペシャの従来式サドルであるトゥーぺと比べてもその形の違いは一目瞭然です。
ショートノーズサドルの由来とそのメリット
ショートノーズサドルはTTサドルからの派生として生まれました。
(トライアスロン用サドル SITERO (出典:https://www.specialized-onlinestore.jp/shop/g/g27118-1600/))
TTバイクはロードバイクよりもはるかに前傾姿勢で乗ることになり、サドル位置もより前方に取り付けられています。
これはエアロポジションによる空気抵抗削減効果に加えて、ペダルに体重をかけやすくするはたらきがあります。
同じように、POWERサドルを使うことで、
・今までノーズに支えられていた体重が、ショートノズルサドルの場合はペダルを踏む力に割り振られてパワーを出しやすくなる。
という効果が見込まれます。(ここまで単純な話ではありませんが)
また、ノーズが短いということは単純に太ももがノーズと擦れにくくなるので、
・太ももがノーズの側面に当たることによるペダリングロスが少なくなり、より踏み込める
ということも期待されます。
そして何より、
・穴が広く長いため、会陰部を圧迫しない
という今回のお悩み解決ににぴったりな特長を持っています。
穴のおかげで股間にサドルがぶつからないため、圧迫感を感じようがありません。
POWERサドルの種類
さて、POWERサドルには大きく分けて2種類あります。
・POWER と
・POWER ARC です。
POWER ARC は名前の通り、座面がより湾曲しています。
この2つのサドルの比較については、
S-Works POWER vs POWER ARC サドル比較レビュー - LOVE CYCLIST
こちらのかたのブログで詳しくレビューされているので、気になる方はどうぞ。
また、POWER と POWER ARC のそれぞれに上位モデルとして、みなさんご存知S-WORKS版が存在します。
シェルとレールがカーボン製になり、パッドの厚みを減らして軽量化されたモデルになります。
こちらはホビーライダーというよりはロードレーサー向けのサドルですね。
また、POWERとPOWER ARCの違いに加えて、それぞれサドル幅を143mmと155mmの二種類から選ぶことになるので、
購入する前はショップのテストサドルを借りたり、フィッティングサービスなどを通して自分のお尻の形についてよく知っておくと良いと思います。
ちなみに私は細身な体型なので、POWER の143mmにしました。標準的です。
GRAILのサドルを交換しよう
お話はこの辺りにして、いよいよサドルを交換していきます。
2つのサドルを並べてみます。 やはり長さが全然違います。
高さはあまり変わりません。
ここからALIANTE R5を取り外します。
GRAILのシートポストのやぐらはこんな面白い形をしていました。
前後2本のネジは両方とも下側から差し込みます。
上下から1本ずつというやぐらも多いですが、穴なしサドルの場合は上からレンチを通すことが不可能なので、両方とも下側からでなくてはいけませんね。
後ろのネジは垂直に差しますが、前のネジはかなり寝かせて斜めに差すようになっています。
つまり、サドルのオフセット値が大きいです。(= サドルが後退している)
サドルのオフセットが大きければ、それだけサドル位置の調節がしやすいので私としてはありがたいです。
もちろん、このやぐらは27.2mm径のアルミレール用なので、オーバー径なカーボンレールのサドルを使うときは別のやぐらに交換する必要があるので注意してください。
換装完了!よりレーシーな雰囲気に変わりました。
別な角度で何枚か。
サドルに空いた穴は思った以上に大きいです。これなら会陰部の開放感に期待できそうです。
ショートノーズサドルとはいえ、プロポーションにそこまでの差はなく、ダサいと感じることもありません。
ショートノーズサドルのインプレ
フィッティングについて
まずは適当にそれっぽい位置に取り付けて、とりあえず跨ってローラーに乗ってみます。
「今までのサドルと違って、漕いでも全然痛みがないはず!」とワクワクして乗り込みますが、
しかしファーストフィーリングは意外にも、
あれ・・・?坐骨が痛い・・・?
という予期せぬ結果に。
以前のサドルでは会陰部で体重を支えていたために、股間の前面に全体的な圧迫感を感じていましたが、
今回の痛みはもっとピンポイントに、体重を支えている左右の坐骨が硬いものに当たっているかのような感覚です。
(なにやらこの辺がゴツゴツする・・・)
そこで"ショートノーズサドルは、普通のサドルより3.5cm程度後ろに下げなくてはいけない"という話を思い出してサドル位置を下げると、それなりに痛みは和らぎました。しかし、坐骨がサドルとぶつかっているという感覚は残ったままです。
ショートサドル特有な乗り方について
結論から言うと、POWERのようなショートノーズサドルは
アップライトなポジションではなく、前傾姿勢で効果を発揮するサドルである。と言うことがわかりました。
先ほどまでは上体を起こして漕いでいたので、坐骨に体重が乗ってしまい痛みを感じていましたが、前傾姿勢を強めにとってみたところ、その痛みの大半は感じなくなりました。
ちょうど坐骨の角度が寝ることによって、骨とサドルがぶつかることは防がれているようです。
前傾の状態だとお尻を包んでくれているかのような安定感があり、お尻の位置が1点に固定された感覚です。
それによりペダリングをロスなく力に変換でき、よりしっかりとペダルを踏み込めるようになっています。
そしてここまで前傾できるのはサドルの穴が大きく、股間とぶつかることが少ないからでしょう。
今までのALIANTEでは前傾姿勢を強めていくと会陰部がさらに圧迫されていってしまうので、無理に前傾することはできませんでした。
以上より、POWERサドルは
前傾姿勢で力をガシガシかけていく乗り方にマッチしていると言えます。
サドル上でのお尻の位置が1点に決まってしまい、また前傾のポジションが必要とされることから、
・走行中に座る場所をちょくちょく変える人や
・アップライトなポジションでゆっくり漕ぎたい人 にはあまり向いていないサドルなのかもしれません。
未舗装路を走るためのグラベルロードとしては割と相反している条件な気もしますが、GRAILを舗装路でより楽に走らせるという観点では、このサドルは中々に良いカスタム候補になると思います。
おわりに
今回はここまでです。
また室内でのローラーを用いたレビューになってしまいましたが、これから実走をしてみてのレビューや、200〜300km程度のロングライドを経たレビューも今後追記していきます。
それでは記事をここまで読んでくださった全ての皆さんに、
ありがとうございます。またお会いしましょう!
(のちに、結局サドルを交換することになりました。合わせてお読みください。)