Aliexpressで中華カーボンホイールを購入しましたので、そのホイールの選び方や各パーツの情報についてまとめています。前編です。
- はじめに
- 「いいホイール」の条件とは?
- 「軽さ」イコール正義!・・・なのか?
- 安いホイールを買うなら:「(横)剛性」が大事!
- ますます重要視されてきた「エアロダイナミクス」
- 中華カーボンホイールはどこで買える?
- 中華カーボンホイール(Disc)の最適な構成を選ぶ!
- パーツが決まったら注文しよう!
はじめに
皆さまおはようございます。
今回は、気になる中華カーボンホイールについての記事となります。
私がどんなホイールを購入したのか、その購入基準は何か、そして詳しい購入方法と発送までのやりとりをまとめていきます。
「安いカーボンホイールに興味はあるけど、中華は心配・・・」というかたは是非ご覧ください!
「いいホイール」の条件とは?
まず、今回のホイール交換の原動力には「楽に速く走れるようになりたい!」という機能的な願望と、「自転車をカッコよくしたい!」という少年心が並行して存在していました。
そこで、この2つのオーダーを満たすホイールの条件から考えていくことにいたしましょう。
(GRAIL CF SL 7.0完成車付属のホイール)
「軽さ」イコール正義!・・・なのか?
まず真っ先に思いつく「いいホイール」の条件はその「軽さ」ではないでしょうか。
ホイールは回転物ですので、力学的に考えてフレームやサドルなどと比べて軽量化の効果が顕著に現れます。
特に回転体の一番外側であるリムが軽量であればあるほど漕ぎ出しが軽く、ペダリングが楽になります。
(Lightweight - MEILENSTEIN OBERMAYER)
事実、完組ホイールメーカー各社も「重量」を大きなアピールポイントとしてセールスの前面に押し出してきています。
この「軽さ」において最も有名なブランドといえば「Lightweight(ライトウェイト)」でしょうか。
記憶に新しいところでは、先日のツールドフランス2019 第8ステージでチーム・イネオスが装備していたホイールがライトウェイトです。
👊 #TEAMWORK 👊 pic.twitter.com/3z1nMfSY86
— Team INEOS (@TeamINEOS) July 13, 2019
激しい落車のあと、懸命にエースをアシストするチームメイトの姿が反響を呼びました。
この落車でおそらく数本のホイールがお釈迦になってしまったのですが、このライトウェイトのホイール「マイレンシュタイン・オーバーマイヤー」は前後セットで70万円もする超絶高級・ハイエンドホイールでした。(もったいない・・・)
(ハブと一体型のスポークが折れていますね・・・)
このイネオス、普段はSHIMANOのデュラエースホイール (10万円代)を使っているのですが、わざわざLightweightをTDFという大舞台に合わせて投入してくるあたり、やはりプロチームとしても「軽さイコール正義」と考えているということでしょう。
それでは、中華カーボンを選ぶときでも「とにかく軽いもの」を選べば良いのか!・・・と考えてしまいますが、実際そうはいきません。
安いホイールを買うなら:「(横)剛性」が大事!
LightweightやZIPPのような高級ホイールを買うのであれば、何もかも高い水準でバランスよく作られているので深く考える必要はありません。
ところが一方で、安いメーカー(特に中華系ブランド)でホイールを選ぶ場合、軽さの他に「剛性」を考える必要があるでしょう。
ホイールの(横)剛性とは、この場合「ダンシングをしたときにどれだけ左右に変形するか」と考えていただいて結構です。
いわゆる「軽いだけの中華カーボン」というものはリムがペラペラに作られているため、トルクをかけると歪んでしまい、ダンシングでブレーキシューにタッチしてしまうなどの報告も挙がっています。
もちろん、左右に変形するということはそれだけ直進方向にエネルギーロスが発生しているということですので、「ただ軽ければ速い」という考えが通用しなくなることがお分かりになるかと思います。
「G3組」はやめておいたほうが無難!?
また、リムだけでなくスポークの長さ・テンション・本数も横剛性に大きく関わってきます。
スポークの本数を少なくすればそれだけ軽量化に繋がりますが、それに伴ってホイールの変形しやすさも高くなってしまうため、ただでさえ柔らかいとされる中華カーボンで少な目のスポーク数を選択するのは得策とは言えません。
カンパニョーロのいわゆる「G3組」を真似した中華ホイールも沢山ありますが、はたして剛性面をクリアしているのかどうかは怪しいところです。
ですので、「リムの剛性がしっかりしたものを選ぶ(軽すぎるものは選ばない)」「スポークの本数は減らさない(G3組などは避けたほうが無難)」という観点が横剛性を守るために必要となるでしょう。
ますます重要視されてきた「エアロダイナミクス」
そして忘れてはいけないのがこの「エアロダイナミクス」です。
ひと昔前まではプロレースの世界でも「基本低ハイトの軽量ホイール」(ド平坦のステージはディープリム)という使い分けがされていましたが、最近は「基本50mmのディープリム」という使い方にシフトしてきており、山岳ステージでは選手によっては32mm程度を選ぶことがあるものの、ディープリムは半ば当たり前の装備になりつつあります。
If I had this yesterday...😅
— Elia Viviani (@eliaviviani) July 16, 2019
Really nice experience today with the new Turbo Creo SL, the e-road by @iamspecialized #tdf19 #turbocreo 📸 Russ Ellis pic.twitter.com/VXz0wFbSdC
(もはやE-Bikeにすらディープリム)
というのも、「軽さイコール正義」という信仰が少々古くなってきているのです。
エアロロードのみならず、オールラウンドロードですら最近のフレームはエアロを意識した形状に変化してきています。
そして高速で巡行していることに加え、さらに回転までしているホイールが生み出している空気抵抗はかなりのものであることがわかっています。
それを踏まえて、ディープリム化による重量増とエアロ効果向上を天秤にかけたとき、エアロ効果の方が勝るために近年の傾向が進行しているのでしょう。
中華カーボンホイールはどこで買える?
うんちくはこの辺りにして、実際に購入の段階に進んでいきましょう。
まず、「中華カーボンホイール」というものは基本的に2種類に分けられます。
①新興ブランド(OEMメーカーなど)が開発し、大手通販サイトで注文できる完組
②名もなき工場製造、名もなきセラーが直販する半手組
まず①について見ていきましょう。
①大手流通系・中華完組ホイール (Wiggle, CRC)
代表格はAmazonでも大人気の「ICAN(アイカン)」や、
スポーツ系通販大手の Wiggle / CRCが販売している「Prime(プライム)」です。
これらのホイールは元々カーボンパーツのOEMを製造している工場で作られたものを新たにブランド化して生まれたものなので、品質には一定の安心感があります。
流通網がしっかりとしているので購入者も多く、比較的レビューやインプレの情報を集めやすいです。
一番人気の10万クラス相当の製品が6万代で手に入るので、価格の相場としては、一般メーカーの30%off〜50%off 程度で購入できればお得なイメージです。
②注文後に工場で製造&組み立てされる無名中華半完組ホイール (Aliexpress など)
こちらはAliexpressをはじめとする中国系通販サイトで購入する方法です。
例えばアリエクで「カーボンホイール」と検索するだけで謎のホイールたちが大量にヒットします。
これらは別々のセラー(販売店)が出品しているものなので、出会いは一期一会でもちろん過去のレビューはほとんどありません。(製造工場はいくつか同じかもしれませんが)
まともな製品から、粗悪品、果ては有名ブランドの形状やステッカーコピー品などホワイト/ブラックな様々なホイールが散見されます。
(これは・・・ZIPPの454(前後50万円のホイール)の形状パクリか?)
上記大手流通系の中華ホイールと比べて、購入するのはそれなりのリスクと知識が必要になるため手を出すのには勇気が必要ですが、価格はさらに圧倒的に安くなるためかなりの魅力があります。
上下幅は大きいですが、相場は大手メーカーの50〜75%off なことも珍しくありません。(もちろん表記されたスペックが正しいという前提ですが)
そして一番面白いことに、多くのセラーでは「注文をした後に、組んで欲しいパーツ類をメールして、それから工場で組んでもらう」という半完組という形式を取っています。
ハブやスポークの種類も一から選び、リムハイトやリムの表面処理までオーダーできるセラーもあります。
概して、危険が大きいだけにかなり自由の高い購入方法と言えるでしょう。
今回私はこちらの方法で購入することにいたしました。
中華カーボンホイール(Disc)の最適な構成を選ぶ!
さて購入方法が決まったところで、私自身が一体どのようなホイールを欲しているのかを改めて整理して、注文に移っていきましょう。
①リムハイトは高いものを
これは前述の「横剛性」と「エアロダイナミクス」の両方に関わってきます。
「リムハイトが高い」ということは、「スポークが短い」ということになります。すなわち、リムハイトの高いホイールはスポークのたわみが少なく、横剛性が高くなる傾向にあります。
中華カーボンではリムの剛性が高いか低いかはそれこそ届くまでわからないので、ペラペラのリムが届いてもダメージが少なく済むようにスポークの短いディープリムを選択した方が無難だと思います。
リムハイトは38mm,50mm,60mm,88mmから選べるセラーが多く、今回私が選択したのはELITE(エリート)というリムメーカーの「60mm」です。
実は重量とエアロ効果のバランスが一番よく、もっともオールラウンドに使えるのは「50mm」と言われているのですが、前述の剛性不足に備えるという観点と、「せっかく中華買うならなんか派手で目立つやつを買いたいな」という性能度外視のロマン的思考が優先されてしまいました。
(88mmも気になりましたが、流石に横風の影響が無視できないと思い今回は断念です。)
ELITEは最近口コミでよく聞くようになった中華リムメーカーで、なかなか評判が良さそうということで選びました。
②ハブは大手メーカーの最新規格で妥協しない!
ハブには妥協しないと決めていたので、そこそこお金をかけて選びました。
中華ホイールのハブに最もよく使われているのは「Novatec(ノバテック)」というOEMメーカーの製品です。
見たところほとんど8割はこのノバテックですが、最近は「Powerway」というメーカーもちらほら見かけるようになってきました。
今回私が選んだELITEのセラーでは、同社のステッカーが貼られた「ELITEのハブ」か、大手ハブメーカーである「DT SWISS」かを選択できるようになっていました。
(ELITEのハブ)
(DT SWISSのハブ)
DT SWISSはスペシャライズドのROVALやトレックのBontragerなど超大手の高級完組みホイールにハブ・スポークを供給しているほどの、実力派・創業400年近い老舗です。
このDT SWISSのハブは「スターラチェット」というとても魅力的な機構が使われていることで有名です。
こちらが普通のハブの裏側で、3本爪のラチェットが引っかかることによって駆動力をホイールに伝達しています。
しかしスターラチェットではこの爪が無数の星型になっており、高い安心性と堅牢性が備わっています。
メンテナンスにも工具いらずと嬉しい構造です。
なお私のGRAILの完成車付属ホイールの「C1850 SPLINE」はDT SWISS製ではあるのですが、一番安いグレードのハブが使われているのでラチェットは上記3本爪です。
つまりスターラチェット採用のDTハブの中華ホイールを選ぶことで、単純なアップグレードになるということです。
回転の中心であるハブはホイールの命なので、ここをケチってよくわからない中華ハブを選ぶより人気の高いDT SWISSのハブを選ぶことは性能にも直結しますし、後々のメンテナンスや破損時の交換にも大きなメリットとなるでしょう。
③エアロスポークの種類を選べることも
エアロスポーク(きしめん状のスポーク)にも色々種類があって、アップグレードすることが可能です。
ちなみに今回のDT SWISSのハブは「ストレートプル」タイプなので、選べるスポークもストレートプルのみとなります。
(これは従来の首折れ式のスポーク。Jベンドとも言います。)
パーツが決まったら注文しよう!
完成したホイールの写真なども掲載しているのでぜひ合わせてお読みください!
それでは当ブログに興味をもち、記事をここまで読んでくださった全ての皆さんに、
ありがとうございます!またお会いしましょう!